「いさどい」という方言がある。金沢だけかもしれない。
普通は「いさどいやっちゃな」とか、「エラい、いさっとるな」などと使う。自慢らしい、生意気な、というニュアンスで、否定的な感じが強い。友人や、好印象を持っている人に対して使う言葉ではない。
先日、合唱団の仲間とのLINEで、自分が「えさどい」と書いたら、「いさどいでしょう」と訂正された。そういえば、標準的には「いさどい」なのだろう。自分の中では、どうしても「えっさどい」なのだが。
まあ、共通の苦手意識がある人を指してのことだったので、こういう時にはピタッとはまる言葉だった。方言には、標準語ではなかなか出せない微妙なニュアンスがある。ただ、口頭の会話だったら、たぶん使わない。この言葉は、それなりにきつい。文字で書くからこそ、少し距離を置いて使えたのだと思う。
それにしても、何十年ぶりだろう。そんな言葉が、考える間もなくポンと出てきた。
ということは、自分の中に、若い頃と同じようなコンプレックスがまだ残っているのかもしれない。そう考えてみると、なんだかおかしかった。何十年も前に置いてきたつもりの感情が、方言の一言になって、突然ひょいと顔を出す。言葉というのは、案外しぶとく記憶に残っているものだ。
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