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2010年08月09日04:06

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映画「たたり」を観る。

フォト


http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=14027#1



少女の未発達の肢体、濡れそぼった肌のなまめかしさに酔った頭をリセットするために、個人的にスリラーの女王と崇めているシャーリー・ジャクスンの、幽霊屋敷をテーマとした小説では最高峰の「山荘綺談」(ハヤカワ文庫)を読んだ。

何度読んでも、私がほんとうに怪奇小説で育った人間なのだということをしみじみと思い出させてくれる、素晴らしい作品だ。

スティーヴン・キングは「山荘綺談」についてこう評している。

この作品ほど優れた英語の文章は、ごく短い叙述的な節といえども、めったにあるものじゃない。作家ならば誰もが目指す控えめなエピファニーのようなもので、言葉によって言葉を超越し、単語を重ねることで、重ねた以上のものを現出させている。

言葉によって言葉を超越する・・・
これはシャーリー・ジャクスン以前では、ウォルター・デ・ラ・メアの朦朧法(はっきりとは書かないことで読者の想像力を引き出す手法)が知られていたが、シャーリー・ジャクスンによって朦朧法はついに完璧な形となって完成されたと思う。

ちょっと気分が高揚してきたので、鎮める意味で、ロバート・ワイズ監督による映画化作品「たたり」を観た。
こちらもほんとうに素晴らしい。
幽霊屋敷ものの映画では、私のなかではロバート・マラスコの原作を映画化した「家」が最高峰なのだが、

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=152521924&owner_id=1640816

「たたり」も僅差に迫るくらいに怖い。
スティーヴン・キングは映画の方もこう評している。

優れた演技、演出、ボールトンによる目を見張る白黒映像にもかかわらず、ワイズの映画にはきわめてリアルな意味で、非常に珍しいラジオホラー映画のおもむきがある。壮麗なパネルドアをなにか恐ろしいものがひっかく音がする・・・だがワイズに選ばれたドアはけっして開かない

ラジオホラーとはなかなかうがった評だと思う。私の世代は白黒テレビが死に絶えて、カラーテレビがメインになってきた時代なので、ラジオは野球か相撲の中継を聞く道具でしかなかった。しかし、オヤジ、オフクロ、祖父、祖母たちの時代は、ラジオがメインだった。今みたいに蒸し暑くて寝苦しい晩には、噺家が怪談を臨場感たっぷりに語って聞かせるので、“声”、“音楽”、“効果音”のトリプル攻撃が非常に怖かったのだそうだ。オフクロは毛根がぴりっとする感覚だったと細かく言ってたので、こんな感覚であろうか、あんな感覚であろうかと想像して追体験しているのである。
「たたり」はそういう意味で、視覚以上に、聴覚に訴える映画なのだ。

今年はまれにみる酷暑。
是非、「山荘綺談」、映画「たたり」で心底震え上がって下さい。にっこり。

注釈、シャーリー・ジャクスンについてはこちらを。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%B3

ウォルター・デ・ラ・メアについてはこちらを。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%82%A2

そして「山荘綺談」よりも創元推理文庫刊の「たたり」が現在比較的入手しやすいのですが、私はハヤカワ文庫刊の小倉多加志先生の訳で読まれることをオススメします。

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