朝、職員室で教頭に呼び止められた。「回覧、見たか」「まだ見ていません」そう答えると、教頭は渋い顔をした。考えてみれば、朝、教頭と顔を合わせる機会などない。
そのまま、いつもの小部屋へ行った。ところが、机がない。おかしい。部屋が変わったのかと思って見回したが、自分の本も棚にない。部屋の外へ出て、どうしたんだろうと考えていると、若い女性教員が通りかかった。「どこに行けばいいか、わからんのです」そう言うと、その教員が別の小部屋へ連れて行ってくれた。どうやら、ボケたと思われたらしい。
しばらくそこで話をしていると落ち着いてきた。廊下へ出ると、去年担任した男子生徒がいた。「俺の部屋、どこだったっけ」そう聞いたところへ、ちょうど教頭が通りかかった。生徒との話を遮って、「こちらへ」と言って、自分を引っ張っていった。
連れて行かれたのは、一階の隅にある大きな部屋だった。何も乗っていない机が真ん中に四つあるだけで、がらんとしている。「ここから出入りして」教頭は非常口を指差した。
「ここって、生徒指導室やったでしょう」
そう言ったところへ、ちょうど生徒指導の体育の教員が4人やってきた。しばらくして、そのうち2人がタバコを吸い始めた。嫌な顔をして、廊下へ出た。そして教頭に言った。「前に入ったことはないんで」「珍しいね」「生徒があんまり世話にならなかったので」
そこで目が覚めた。
考えてみると、40年の教員生活で、校務分掌としてやったことがないのが、教務課と生徒指導である。他は全部やった。校務分掌で一番長かったのは担任である。担任をしながら、他の分掌にも所属していたが、この二つだけはやっていない。専任でやったのは、カウンセラーと生徒会、進路指導課だけだった。
それなのに、よりによって生徒指導室へ入れられる。それも、人と交わらないように非常口から出入りしろという。
隔離だな。そこまでボケたと思われたのか。
妙にリアルな夢だった。
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