Facebook「忘れられた真実」
ピアニスト西川悟平氏の静かな日常は、一人の侵入者によって突然破られた。
家に押し入ってきたのは、屈強な外国人の強盗。
死の恐怖が西川氏を襲う。
しかし、時間が経つにつれ、その恐怖は次第に奇妙な好奇心へと姿を変えていった。
「この男は、一体どんな人生を歩んできたのだろう?」
彼は意を決し、目の前の男に問いかけた。
「どんな子供時代を送ってきたの?」
その一言は、張り詰めた空気を揺るがした。
強盗は戸惑いながらも、ぽつりぽつりと自らの過去を語り始める。
それは、虐待を受け、親に捨てられたという、あまりにも過酷な物語だった。
話を聞き終えた西川氏は、もはや恐怖を感じていなかった。
目の前にいるのは強盗ではなく、深く傷ついた一人の人間だった。
気づけば、彼の頬を涙が伝っていた。
「大したものは無いけれど、何でも持っていっていいよ」。
その言葉に、今度は強盗が心を揺さぶられる。
「日本人は優しいから好きだ」。
そう呟いた男に、西川氏はさらに驚くべき提案をする。
「じゃあ、日本茶でも飲んで行かない?」。
こうして、強盗と被害者による、世にも奇妙なお茶会が始まった。
話すうちに、男が今日、誕生日であることを知った西川氏は、静かにピアノの前に座る。
そして、彼のために「ハッピーバースデー」を奏でた。
美しいピアノの音色が部屋を満たす中、強盗は堰を切ったように泣き崩れた。
「誰かが俺のために弾いてくれたのは、初めてだ…」。
音楽は、人の心を動かす。
その夜、一曲のピアノが、犯罪者の心を洗い流した。
男は盗んだものを全て返し、西川氏と二つの約束を交わして去って行った。
一つ、警察には言わない代わりに、必ず職に就くこと。
そしてもう一つ、いつか西川氏の演奏会に、VIPとして招待されること。
後日、西川氏のコンサート会場のVIP席には、約束通り、あの男の姿があったという。
これは、音楽が憎しみを溶かし、一杯のお茶が人の心に温もりを取り戻させた、奇跡のような実話である。
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