森田童子は今ではTBSの伝説的なドラマ「高校教師」のテーマソング(僕たちの失敗)で知られているが、私にとっては前回の佐井好子に続く、母のコレクションのひとつだった。
母は私を産み出す1969年以前は、六本木の安アパートでギターを練習するヒッピー気取りだった。ビートルズやジミー・ヘンドリックスを好む一方、佐井好子や森田童子に自分自身を強く重ね合わせていたというのは、母を新宿でナンパして花園神社の物陰に連れ込んだと母との出会いを回想するオヤジの談。
なるほど、女子大生時代はおカタイ文学少女だったそうだから、その硬さが佐井好子や森田童子の歌詞を好んだのかもしれない。
母の硬さを受け継ぐ息子の私も、あらためて森田童子を聴くと、心の固い殻が軽く、薄くなって、自然に剥がれ落ちていく感触を覚える。
ちなみに、東京タワーの展望台に上がって、東京を眺めるたびにこの曲が私の頭のなかでかかる。
♪みんな夢でありました・・・
夢から醒めて、私は東京タワーから降りて、コンクリとアスファルトの硬さをあらためて感じて、今日一日を静かに絞め殺す。
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