私の趣味のひとつにアクアリウムがあるのだが、実はそれほど魚や水草に興味があるわけではない。
では一体何に興味を持つことでアクアリウムを続けているのかというと、水槽のディスプレイなのである。
みなさんもご存知の通り、私はジオラマとか、情景に対する執着はかなり激しく、そこから発展して、内部風景への憧憬になっているのは、まさしく「一生の病い」だ。
さて。
子供の頃の水槽ディスプレイというと、これだった。
ブルーのバックスクリーンに、小粒の砂利の上に配置され、そこから泡をボコボコとはき出す・・・
そして泡に押し上げられてくるくる回る真っ赤な水車・・・
幼少時の私は、金魚よりも水槽の中に水車小屋、橋があるのが面白くて、水槽の中の景観に興味を抱き、自分でも空想を膨らませて「設計図」をよく描いていたものだ。
子供なら誰もが描いたことのある、想像上の「秘密基地」や「大邸宅」と同じレベルで、私は水槽という限られた空間内にどれだけ空想を詰め込めるか来る日も来る日も腐心し続けた。
その過程で、誰から聞いたのか覚えていないのだが、ダムの底に沈んだ村の話を聞いて、わざわざ一人で奥多摩は小河内ダムへ行ったが、当然、湖底の村の廃墟は見ることが出来ず、石碑だけを拝む結果に終わった。
しかし、それだけに、想像力はますます膨らみ、水の中の情景は私の成長とともに美しさを増していった。
そんな少年時代を過ごし、青年時代に突入した頃。
「Xファイル」シリーズのファーストシーズンの「輪廻」で、ダイバーのオーナメントが象徴的に描かれた映像にすっかり魅入られてしまった。
殺された警官の生まれ変わりの女の子がビデオに念写したイメージを解像すると、ダイバーのオーナメントがあらわれるというものだ。
警官は水槽に頭を突っ込まれて溺死する瞬間、これを見たのである。
それで、ダイバーのオーナメントをずいぶん探し回って、やっと以下のものを見つけた。
しかし、海外通販の本で、当時、まだ社会人一年生だった私にはいくらも入っていないクレジットカードで冒険する勇気はなく、もっと稼いでから買おうということで見送った。
それから十五年経って。
ネットもこなれて、クレジットカードもそれなりに膨らみ、自由気ままに海外通販を楽しむようになった私は、新しくアクアリウムを始める際に、以下のサイトからオーナメントを買い集めることにした。
http://youraquariumcenter.com/ornaments.html
もう、よりどりみどりである。
ここまで来ると、幼少時の空想スケッチのように、詰め放題な世界観にしてもいいのだが、大人になった私は、ベックリーンやフリードリヒのような静かな世界観にも憧れているので、慎重に設計図を描いた上で、チョイスしたい。
そうしてディスプレイして、満足したら、そこからやっと水作りから始めて、魚を放すわけである。
ちなみに昔は若気の至りで、アロワナ、アリゲーターガーを飼育していて、ディスプレイは全くなしの、ブルーのバックスクリーンのみという殺風景さだったので、今度はネオンテトラとかグッピーに留めるつもりである。
いるのかいないのか分からない、限りなく透明な小エビでもいい。
その中で、私のダイバーは、私が老いさらばえるまで泡をはき続けて、閉じた空間の中にも永遠が横たわっていることを表現し続けることだろう。
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