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2008年03月25日00:32

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新ワイルド7最終章 序章エンジェル・フォール��

草波邸。

デスクに座る草波を前に、報告書を提出するサングラスの男。
報告書に目を通す草波。
「これは・・・よくここまで調べたものだ。さすがはJJ機関のレッドフォックス」
レッドフォックス(「優しい鷲JJ」の赤い狐)と呼ばれた男は、ソファに身を沈め、ふんぞり返ってタバコに火をつけて、紫煙をフーッと吹く。
タバコの銘柄はゴールデンバット。
「JJ機関には政府から十分な資金は出とらんのか?トップクラスがゴールデンバットとはな・・・」と草波。
「おたくと同じくらい十分もらってますヨ。これは私の好み!!本来ならパイプでそこらへんのシケモク拾い集めて吸うのが好きですナ。子供の頃の楽しみはそれしかなかったんでネ」とレッドフォックス。
「なるほど、お互い、戦後は苦労したからな・・・ちなみに私はマイルドセブン一筋!!」
レッドフォックス、ニヤッと笑って、「五本指の最後の生き残り、ジョルジュ・デュバリエ・・・あくまでも噂ですが、仲間のマーク、ジョーたちの親指を四本切り取って、自分の人差し指、中指、薬指、小指と取り替えたんだそうですと。やつの出身地のハイチじゃあ、そんなまじないでもあるんですかね?」と言う。
「やつのあだ名は『ハンド・オブ・グローリー』だそうだな?即ち、栄光の手!!ヨーロッパの黒魔術で、栄光の手といえば、死人の手首を蝋燭代わりに使うそうだが・・・もっと根源的な意味合いかもしれん。ハイチの黒人の源流であるアフリカじゃ、親指は生命の源とみなす部族もいることだしな」
「なるほど、我が国でいう、腹みたいなもんですかね・・・でも、そこに書いた通り、やつが栄光の手と呼ばれるのは、外科医時代にそう呼ばれたことからきてる・・・なにせ、爆弾で吹っ飛んだ肉片をつなぎ合わせて、生命を救っただけじゃなく、ピアニストだったそいつを再び演奏出来るようにしたっていいますからね・・・」
「名医ってわけか・・・親兄弟とは違って・・・しかし、あのデュバリエとはな・・・父親がフランソワ・デュバリエ、兄弟がジャン=クロード・デュヴァリエ。独裁政治だったとはいえ、政界にも詳しいと見ていいだろうな・・・」

註)フランソワ・デュバリエは実在した人物。詳しくは以下を。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%AF%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%A8

「昼はシカゴのクック・カウンティ病院の外科医、夜はシカゴの殺し屋五本指の一人として顔を使い分けていたところ・・・散弾を撃ち込まれて戦線離脱。その間、四人の仲間が我が国で死んだことを受けて、復讐を誓ったと・・・そんなところですかな」
「うむ。それもかなり以前から準備したようだ。仲間たちの指も当時の死体収容所から切り取ってきたのだろうしな・・・ところで。もう一人素姓を調べてもらいたい者がいる」
「誰です?」
「カムサンの若社長だ。名前はジュー・ハナブサ。Aリアングループの総帥英重太郎の孫息子だそうだが、私のカンでは、かつてワイルドの敵だったと見ている」
「承知しました。ではまた近いうちに」
レッドフォックス、立ち上がり、部屋を出ていく。

そこで初めて、草波、マイルドセブンに火をつけてフーッと紫煙を吐く。

はたと思い出したように、テレビのリモコンでニュース画面を出すと、ライブ映像でオプシヌプリ湖ホテルを占拠したテロリスト集団の動向を流しているのが目に入る。

ホテル内の会議室。
サミット参加国の首脳たちが一列に長テーブルの向こう側に並んでいるのに対して、こちら側には、かつて首脳だった老人たちが並んでいる。
上座に値する端には、ロシアの首脳であるラーキン大統領、下座に値する端には、開催国、即ち日本国の首脳である花田首相が座っている。
「さて、サミットを始めましょうか」とラーキン。
「ふざけるな!こんな状況で出来るか!!」とフランスのベルモンド大統領。
「私で不服ならば、花田サンにお願いしましょう」
指名されて、おそるおそる周囲の顔色をうかがいつつ、立ち上がる花田首相。
「エエ、僭越ながら、開催国としてサミット開催の挨拶を述べさせて頂きます・・・今回は思わぬゲストの皆さんも参加するというハプニング・・・もとい、サプライズがございましたが・・・」
「ケッ、ハプニング以外のナンだってんだよ」と下品な中国語でヤジを飛ばす汪錦刀主席。
そこへ鳴り響く銃声。
汪錦刀主席を劉大塊が射殺したのである。
硬直する全員の中で、静かに言い放つ劉大塊。
「誤りがあれば改め、なければ更に勉める・・・我が国の人民の格言じゃ。貴様はチベットの件ですでに国辱の罪を背負っておる。その上、下品な物言いで恥の上塗りをしおって。あの世で一からやり直せい。おい、そこの貴様、北京に連絡して、このわしが主席代理を勤めると連絡せよ」
主席の秘書の中国人が一礼して下がって、部屋を出る。
ロシア人のSPたちが主席の射殺体を運び出す。
「花田サン、やっぱり、私が進行を務めましょう」とラーキン、ガタガタ震える花田首相を座らせ、マイクを手に、「まず第一の議題、地球温暖化問題です・・・」と言い放つ。

ホテルを包囲する北海道警察、自衛隊、そして各国のマスコミ、冬季オリンピック村から野次馬と化した選手たち、一般人たち。
「テロリスト集団の『ピースメーカー』は、予定通り、サミットを始めさせた模様です!!」
「ただ今入りました緊急ニュースによりますと、中国主席の汪錦刀氏が射殺されたもよう!!」
「国連は緊急招集をかけ、対策本部を設けることを声明・・・!!」

警察病院でテレビを眺めて、水戸とエンゼル、画竜、天田がため息をつく。
「ナンだよこりゃ・・・第三次世界大戦が始まるんじゃねえか?」と水戸。
「主席を殺されたとあっては、中国が軍隊を介入させることもアリと見ていいだろうナ」と画竜。
「とてもワイルドの出番じゃねェな、こうなっちゃあ」と天田。
「同感やわァ」とエンゼル。
そこへ血相をかえて飛び込むクロス。
マックと馬力も同じように青い顔をしている。
「出番だと」とクロス。
「仕方がないナ、我々も国家権力の一員だ、当然出動だわナ」と画竜。
「そうじゃないんだ」とマック、「出番なのは、ボクらじゃない。もうすでに現場で待機してる・・・ワイルド7と名乗るやつらが」
「何ィ!?」と水戸。

オプシヌプリ湖ホテルを見下ろす山の木陰に並ぶ七人の男たち。
それぞれスノーモービルに乗っている。
メンバーはそれぞれヘルメット、マスクで顔を隠しているが、ユニフォームが旧ワイルドのそれである。
リーダー格が右手をあげて、発進する七台のスノーモービル。

http://www.yamaha-motor.jp/product/snowmobile/index.html

一方。
横浜は山下公園。
ベンチでイチャイチャしているカップルを引き裂くように飛び出す飛葉と志乃が乗るビラーゴ。
慌ててお互いを突き飛ばすように身をかわすカップルをさらに引き裂くように、ベンチを破壊する改造バギー。
バギーの後方では、ドゥカティを操るクイーンがMM-1を構えながら、四十ミリグレネード弾を発射し続けている。

http://world.guns.ru/grenade/gl15-e.htm

着弾を読むように華麗に交わし続ける飛葉、自分のジャケットを素早く脱いで、志乃の背中へ回して、自分の身体へ縛りつけて固定する。
目をギュッとつぶって、ひたすら飛葉に抱きつく志乃。
世界の広場へ飛び上がり、破壊される噴水の破片と水しぶきを浴びつつ、塀の道からそれぞれ現れた改造バギーをウッズマン357マグナムで仕留める。
正確に頭を撃ち抜かれた二台の改造バギー、水の階段から猛スピードで飛び出し、ゴロゴロと転がって、ハデに爆発する。
そこへ、氷川丸から小銃を撃ってくる老兵たち。
熟練した腕を持つ老兵だけに、かすり傷を負う飛葉と志乃。
「アアッ!」と悲鳴をあげる志乃。
志乃のめくれあがったスカートからあらわになる太ももにみみず腫れが走り、血がにじむ。
「くそォ、キリがねえ」と飛葉。
そこへ、いきなり爆発する氷川丸の甲板。
「ダイロク、こっち!!」とリープヒェンの声。
声のした方を見ると、何と、ホンダDN-01に乗ったリープヒェン姫が110mm個人携帯対戦車弾を構え直している。

http://www.mod.go.jp/gsdf/html/soubi/bottom/kaki/kaisetu/110lam.html

http://www.honda.co.jp/DN-01/gallery/index.html

「ありがてえ、他に武器は?」
「はい、これ」とリープヒェン、飛葉にモスバーグM590を手渡す。
ジャカッとポンプを操作し、迫る改造バギーに向かって、12ゲージの散弾を浴びせる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%82%B9%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B0M590

穴だらけになって吹っ飛ぶバギードライバー。
その様子を見たクイーン、チッと舌打ちし、右手を振り回す。
撤退の合図らしく、方向転換して下がる改造バギーの群れ。

ふーっとため息をつく飛葉に、リープヒェン、「クロスさんたちは?」と聞く。
「ここにはいねえ、第一、これは俺のプライベートだしナ」
「まあ、ハデなプライベートだこと」
「人のこと言えるかよ!!バイクまでハデなのに乗りやがって」
フフンと鼻を鳴らすリープヒェンに、志乃、「ありがとうございます・・・先生」と声をかける。
「どういたしまして、可愛い生徒のためならこんなのは当たり前よ」
「頼もしい先生だ」

携帯で報告を受ける草波。
携帯を切り、「飛葉め、志乃を守りきったか・・・ということは、当然、敵を確実に仕留められたといえよう・・・イコの犠牲だけで済めばいいのだが・・・」と呟く。
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