10時に練習録音を聴きながら寝た。4時に目が覚めた。窓が開いていて寒い。寝る時には閉めたはずなのにと思ったら、妻が「暑いから開けといて」と言ったので、そのまま居間へ降りた。
今日の起きがけの夢は、金沢大学合唱団の指揮をする場面だった。しかもコンクールである。「大学時代に一度しただけで、できない」とみんなの前で愚痴を言っているのだが、どうにも逃げられない。
大学1年の秋、北陸3県の大学芸術交歓祭(芸交祭)で、小さな合唱団の指揮をした。たぶん、いつもの指揮者が都合が悪かったのだろう。演奏後に、他の合唱団の仲間から「指揮するより歌えばいいのに」と言われた。
「はい、その通りです」
まったく異論はない。そもそも、誰が好き好んで指揮などするか。それ以来、指揮をしたことはない。根音がどうの、和音がどうのという音楽的な知識もない。何しろ、バスにはf(フォルテ)しかないと嘯いていた人間である。
音楽の授業で習った三拍子や四拍子の振り方くらいは覚えている。しかし、それだけならメトロノームを置いておけばいい。指揮者というのは、ただ拍を振っていれば務まるものではない。それが分かっているから、自分には無理だ。
再任用で高校の合唱部の副顧問になった時、生徒から指揮をしてほしいと言われたことがある。しかし、即座に断った。アンサンブルの指導ならできる。歌いながら音程や発音を確かめたり、フレーズについて話したりすることはできる。だが、指揮者として合唱団の前に立つなど、自分の柄ではない。
それなのに、夢の中では金沢大学合唱団の指揮を任されている。しかもコンクールである。できない、無理だと、あれこれ言い訳をしているのだが、どうにも逃げられない。
とうとう指揮を始めたところで目が覚めた。そのまま夢が続いていたら、ひょっとすると名指揮者になっていたかもしれない。
いや、そんなことはない。はっきり言える。自分には、指揮者になりたいなどという願望はまったくない。
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