今日(9月5日)の朝日新聞の「日曜コラム」に、「クスノキに託した平和の連鎖」という記事が載っていた。東野圭吾の話から福山雅治へ、そして後半はチェリスト、パブロ・カザルスの話につながっていく。
1971年、ニューヨークの国連本部でカザルスが、カタルーニャの民謡《鳥の歌》を編曲して演奏した。その前に、
「私の故郷カタルーニャでは、鳥たちはピース、ピース、平和と鳴くのです」
という趣旨の話をした。94歳のカザルスが、故郷への思いと平和への願いを込めて演奏した有名なエピソードである。
これは知っている。
読み終えて、五木寛之の『戒厳令の夜』を読んだときのことを思い出した。小説の冒頭に「4人目のパブロが死んだ」という印象的な言葉がある。そこから調べていくと、1973年には3人の「パブロ」が亡くなっていることを知った。
パブロ・ピカソ(画家)、パブロ・ネルーダ(詩人)、そしてパブロ・カザルス(チェリスト)。分野は違うが、3人とも戦争や独裁、ファシズムに対して、それぞれの立場から抵抗した人物だった。そこに五木寛之は、架空の4人目のパブロを登場させる。
そんなことを思い出しているうちに、もう一つの「鳥の歌」が頭に浮かんだ。昔、合唱で歌った《鳥の歌》である。
カザルスが演奏したカタルーニャ民謡の《鳥の歌》も合唱用に編曲されているので、最初は「これを歌ったのだったかな」と思った。しかし、聴いてみると、どうも違う。
https://youtu.be/Bo9UH-kBRDc
調べてみると、自分が20代前半、おそらく学生時代に歌ったのは、クレマン・ジャヌカンの《鳥の歌(Le Chant des oiseaux)》だった。
https://youtu.be/TG8XegKum9k
こちらは16世紀フランスの曲で、鳥の鳴き声を模したような音型が次々に現れる、とても面白い曲である。同じ「鳥の歌」でも、一方はカタルーニャの民謡をカザルスが編曲したもの、もう一方は16世紀フランスのジャヌカンの作品。まったく別の曲だ。
今日の新聞記事を読んだことから、何十年も前に歌った曲まで記憶がつながってきた。こういうことがあるから、昔歌った曲をもう一度聴いてみるのは面白い。
できれば、ジャヌカンの《鳥の歌》を、もう一度合唱で歌ってみたい。20代前半に歌った曲を、70代になった今、もう一度歌ったら、いったいどんなふうに聞こえるのかな。
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