石川県立音楽堂の正面玄関のドアのガラスに、「森の歌」公演のポスターが貼られている。チラシを大きく拡大したものだ。右下には、20年前の合唱団のステージ写真がある。
チラシでは小さくてよく見えないが、ここまで拡大すると、一人一人の顔まではっきりわかる。
自分は2列目の端にいて、隣には高校時代の同期(武蔵野音楽大学声楽)がいる。男声は20人ほどで、自分以外にも金沢メンネルコールのメンバーがたくさんいる。ほかの混声合唱団の人たちもいる。
そうか、これは音楽堂の開館5周年記念で、石川県合唱連盟に呼びかけて集められた特別合唱団だったのだ。
この頃、OEK合唱団はOEKのコンサートに向けて練習をしていた。写真を見ていると、特別合唱団とOEK合唱団の両方に出演していたのは、自分ともう一人のバスだけのようだ。
20年前の顔ぶれを眺めていると、当時の石川県の合唱界の厚みが見えてくる。特に男声は、金沢メンネルコールのメンバーだけでもかなりの人数がいる。それに比べて、今回の「森の歌」に続けて出演している男声は、自分一人である。女声も、知っている顔は2、3人いるかなという程度だ。
なるほど、これなら練習がなかなか進まないのも無理はない。もちろん、練習が進まない理由はそれだけではないだろうが、少なくとも男声の層の薄さは大きな違いである。20年前の写真を見る限り、男声だけなら、今回よりずっと豪華な顔ぶれだった。
ステージの後方、上段のフロアには、エンジェルコーラスが30人ほど並んでいる。20年前なら、自分の娘も小学4年生、10歳だった。この中で歌っていたはずだと思って探したが、はっきりしない。
ちょうどお盆休みで東京から帰ってきた娘に聞いてみたが、「あまり覚えていない」という。歌っていたのなら覚えていそうなものだが、ひょっとすると、この後に入団したのかもしれない。
それにしても、写真の中の自分を見ると、頭が黒い。20年前なのだから当たり前なのだが、今の自分と比べると、ずいぶん違う。写真を眺めているうちに、なんだかカッコよく見えてくる。
「あの頃は良かった」と言うつもりはない。ただ、黒い髪の自分を見ると、少なくとも見た目だけは、あの頃の方が良かったかな、とは思う。
ログインしてコメントを確認・投稿する