先日のコンサート後、合唱団の練習で聴きに来てくださった方が感想を言われた。「よかったです」と言われるのだが、つい苦笑してしまう。思わず「あれは、のど自慢歌合戦ですよ」と付け加えたくなるのだ。
ソロやデュエット、カルテットくらいならまだいい。しかし20人弱のアンサンブルとして聴くと、完成度は高くない。要するに「いい声合戦」なのである。どこが旋律で、自分は和音の中のどの位置を担っているのか。そうした意識が曖昧なまま、それぞれが気持ちよく歌っているように聞こえる。もし自分が客席にいたら、5分ほどで「もう十分かな」と思うだろう。
厄介なのは、これが指導者の求めている方向でもあることだ。「日本の合唱団は……」と他を小馬鹿にするような話をして、それを聞いて団員が笑う。他を笑うほどの力が本当にあるのだろうか、と思う。そして団員たちは、それを真に受けて、自分たちの発声法こそが一番だと信じるようになる。現役で歌っているメンバーならまだしも、すでに辞めていった人まで同じようなことを口にする。
外から見れば滑稽である。先日も友人に「この合唱団のメンバーで他の合唱団で受け入れてもらえるのはせいぜい1/3ぐらいでしょう」と言ったのだが、アンサンブルの基本ができなければ無理な話である。
もちろん、楽しく歌うこと自体を否定するつもりはない。ただ、合唱は一人ひとりの声を競う場ではなく、互いの音を聴き合い、一つの響きを作り上げる営みだと思っている。だからこそ、「自分たちが一番」と思い込む前に、もう少し謙虚に耳を傾けてもいいのではないかと思うのである。
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