いつも持ち歩いているバッグには歴史手帳が入っている。毎年1冊、40年以上同じ手帳を使い続けている。前半には毎日の記録欄、後半には年表や地図、重要文化財の一覧が載っていて、社会科教師だった自分には便利な手帳だった。だが、それ以上に気に入っていたのは丈夫なことだ。毎日持ち歩いてもくたびれず、破れもしない。
この手帳を開くと、ところどころに「××クソ」とか「アホ」とか、大きな字で罵声が書いてある。不愉快なことがあった時に書いたものだ。こういう悪口は人に言うものではない。たとえ妻相手でも、聞かされる方は面白くない。だから自分の中で消化するのだが、ただ我慢していると「腹ふくるるわざなり」となって、いつまでも引きずる。だから書く。
古い手帳を開いてそれを見ると、その時の怒りを思い出す。あの野郎め、である。「執念深い」と妻は呆れるが、これも自分なりのストレス解消法なのだ。
ブログを始めてからは、その時々の気分を書くようになり、手帳に罵声をメモすることは少なくなった。とはいえ、ブログでも罵詈雑言や悪口は読んだ人にも面白くない。だから、なるべくソフトな言葉に置き換えて書くようにしている。
こんなことを書いたのは、昨日、出番前のステージ袖で面白くないことがあったからだ。そのまま歌ってステージを降りたのだが、終わってからふと思い出して、あの野郎、と思った。もちろん仕事をしていた頃のように、「いつか仕返しを」などと思ったわけではない。ただ、なんとなく不愉快だったのだ。
というわけで、久しぶりに手帳に書いた。いつか気分が落ち着いたら、ここでも書こうかなと思っている。
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