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2014年12月18日19:31

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山の怪のこと。

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山歩きが趣味だから、道がない、人が入らない、どっちかって言えば
山菜採りにいくような山にいくのよ。

だから不思議なものもたまにみるよ。
例えば、真っ白いカモシカとか、大人くらいの大きさのワシとか

でもさ、一番びっくりしたのは、あれだな、家族連れにあったこと。ありえない山奥で。

平日の昼過ぎだけど、その日は、宮城県と山形、秋田三県の県境を歩いてた。
でっかいブナが沢山はえてる森だから、暗いわりには歩きやすい森。
にしたって、道があるわけじゃないから、山菜採りの地元の人か、
俺みたいなGPSもったよそ者しかいるはずのない場所
んで、小さな尾根を歩いてたら、尾根の下を流れてる小さな沢の
縁に人が立ってるのが見えた。「あ、渓流釣りか」って最初は思ったよ。
でも、すぐに「ん?」ってなった。一人じゃなくて4人で川っぷちに立ってたのね
距離にして100メートル以上あったから、ハッキリとはわからなかったけど
それでも、人が4人なのはわかった。しかも2人はこどもみたいだった

最初に思いついたのは「自殺」 一家心中かと思ったよ
にしても、こんなとこ来る意味がない
つーか子供の足じゃ無理

少し気は引けたけど、手持ちの双眼鏡でのぞいてみた。
4人は俺に背を向けて立っている。
二人はやっぱり子供だ。残りの2人は大人の男と女。
顔が見たくて、しばらくのぞいていたけど、全然動かない。
誰かの悪戯で、マネキンが立ってるんじゃって思うくらいだったよ。OH!マイキーみたいに
んでね、俺はさ、そこに行ってみることにしたのよ。
だって、最初に書いたけど、一家心中の可能性だってあるしさ。
そんなんなら、止めなきゃって思ったのよ。

んで、そっと近付いた。気付かれて、逃げられたり、最悪川に飛び込まれても、たまんないし。

んでね、気付かれてずに、すぐ近くまでいったら、わかったんだ。
ほんとにマネキンだった。大人のマネキン2体と子供のマネキン2体に服を着せて、
そこに立たせてあったんだ。
もう、呆れるのと同時な寒くなった。 これやったやつがいるわけで、
そいつは絶対まともじゃないでしょ?

人形の正面に回り込むと、それぞれのマネキンにはペンキで名前が
書かれてた。んで小さな穴がたくさん開いてた。散弾銃で撃った跡みたいに。
極め付けは、子供のマネキンのひたいには、カッターの刃が刺さってたんだ。

俺ほんとおっかなくてさ、すぐに下山したよ


「続・妄想的日常」より。

山で怪しいものを見たのは今までに二度ある。

一度目は小学五年の林間学校で長野の志賀高原に行った時。ロッジが並ぶなかでキャンプファイヤーをやってて、燃え上がるオレンジ色の向こうの暗がりで白いものがふよふよ動いているので、んん?と目を凝らしたら、火に誘われるようにして無数の人影が集まってくる。それでビックリ仰天して悪友の肩を激しく揺さぶってあれ見ろ!と繰り返したら、悪友ではなく近くの女の子が気づいて「先生!」と悲鳴をあげて大騒ぎになった。当然キャンプファイヤーは即中止。みんなはそれぞれのロッジで待機。私はみんなからせがまれて窓から様子を窺ったけれど、外を出歩くものは誰もおらず、慌てて消した焚き火がブスブス燻っているだけ。管理人が大勢を連れてやってきて、その夜は山を下りて立派なホテルに泊まったけれど、誰も寝ようとしなかったので翌日帰る頃には全員疲労困憊どころではなかった。
その後緊急に開かれた保護者会では「蛾の大群のせい」と説明されており、父母の追及に苦しくなると「キャンプファイヤーは集団幻覚を引き起こしやすい」などととってつけたような言い訳で煙に巻いていた。
今でも同窓会で語り継がれているけれども、ひきつけを起こしたのもいたのに、今じゃ笑い合って不思議だったよね〜と言い合えるのは実に微笑ましい。
母方の親戚にどう思うか聞いたら、イエアゴー伯父は「山霊だな、うん」と頷いていた。山には怪しいもの、不可解なものがいるのは昔からの常識とのことだった。

余談ではあるが、小学校を卒業後、初めての一人旅で志賀高原は山田牧場の近くにある民宿に泊まり、そこで身の毛もよだつような経験をした。お化けではなくサイコな婆あに出会ったのである。そのあたりは「噛みつき農園」という作品に仕上げたので、読んだことのあるみなさんはご存じのはず。

二度目は高知県は物部村。奥物部の山深いところに住む祈祷師のN氏のところに泊まっていた時。あそこのトンネルから向こうの川までは狂ったじいさんが追いかけてくるから決して逃げたり、相手にしたりせずにただ無言で通り過ぎろと注意されて、へー、そうすっかと軽く受け止めて向こうの川へ魚釣りへ出かけたら、川沿いに真っ黒な案山子が突っ立っているのに出くわした。なんでこんなところに?とじろじろ眺めながら釣り糸を投げたら、そいつがいきなり動き出して奇声をあげて走り寄ってくる。すっかり肝をつぶしたけれども、ザボンくらいの大きさの石を拾い上げて全力投球し、見事に頭部に命中した。それから後ろも振り返らずにさっさと逃げてきてN氏に話したら、「力持ちじゃな、おまんは」と笑っていた。
それ以来、山のなかで案山子を見かけるととりあえず身構えて、キッと睨み、それから思いっきり石をぶつけることにしている。

このように、前者はマジモンの霊的なもの、後者はキチガイ老人。山という環境がそれらを棲みつかせるものなのかは柳田國男の「山の人生」でもそれとなくほのめかすだけである。
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