最近、eBayという世界最大のオークションでブラック商会変奇郎のようにヘンなものを集めるのが大きな趣味のひとつになってきている。
今熱中しているのが、「耳らっぱ(Ear trumpet)」。
ごらんのように、昔の「補聴器」である。
これを耳に押し当てて、他人の話を聞いたり、音楽を愉しんだりするわけだ。
私の耳は90デジベル単位の難聴で、箱型補聴器からスタートしたのだが、電池で動く精密機械ゆえに故障が多く、音もハッキリ聞こえるわけではなかった。
ところが、アメリカの補聴器会社に寄る機会があって、その際、昔の補聴器ですよと銅製の耳らっぱを試してみたら、びっくりするくらい音がナチュラルだった。
ただ、自分の声まで拾うわけではないから、「聴く」専門なのだが、それでも初めて経験した自然な聞こえに涙を流すくらい感動してしまった。
そのことをいつまでも覚えているので、補聴器がデジタル化されて聞こえがクリアになってきたとはいえ、耳らっぱには及ばないということで、eBayで入手が容易になった時点で血眼になって買いに出ているわけである。
耳らっぱ。
レオノーラ・カリントンも「耳らっぱ」というファンタジーを書いているが、意匠といい、この器具に私は人間の使う道具のなかでイチバン、ファンタスティックなものを感じてしまう。
ちなみに私が耳らっぱで初めて聴いた音は、ヒバリの美しい鳴き声であった。
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