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2011年05月20日23:11

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新作「Boy Lights Fire」のねらい。

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新潟少女監禁事件を題材にした長編小説「柱の部屋」はまだ推敲を繰り返してる最中だが、酒鬼薔薇聖斗事件、または神戸連続児童殺傷事件を題材にした新作がスタート地点に立った。

タイトルが決まったのである。「Boy Lights Fire」。上の画像のデヴィッド・リンチの作品のタイトルをそのまま頂いた。まさにこの少年が酒鬼薔薇聖斗の心象風景、バモイドオキ神をも表わしていると感じたからだ。

そして。

事件が報道された当時。私は校門に置かれていたという子供の生首が裸電球をくわえているのを夢に見た。それを何者かが手に取って口にくわえ、興奮状態になり、吠える代わりに裸電球がパッと輝く・・・

犯人が少年だと知ってからは、少年がハンマーを持って女の子たちを殴る瞬間、絶頂感を感じる代わりに口の裸電球が真っ白に輝いて、そのまま周囲が真っ白に溶ける・・・

そういう内容の夢だったので、ますます「Boy Lights Fire」でなければならないと考えた。

公表された犯行メモも私の想像力を刺激した。

H9・3・16
 愛する「バモイドオキ神」様へ
 今日人間の壊れやすさを確かめるための「聖なる実験」をしました。その記念としてこの日記をつけることを決めたのです。実験は、公園で一人で遊んでいた女の子に「手を洗う場所はありませんか」と話しかけ、「学校にならありますよ」と答えたので案内してもらうことになりました。ぼくは用意していた金づちかナイフかどちらで実験をするか迷いました。最終的には金づちでやることを決め、ナイフはこの次に試そうと思ったのです。ぼくは「お礼を言いたいのでこっちを向いて下さい」と言いました。女の子がこちらを向いた瞬間、金づちを振り下ろしました。
 2、3回殴ったと思いますが、興奮していてよく覚えていません。階段の下に止めておいた自転車で走り出しました。途中、小さな男の子を見つけ、あとを付けましたが、団地の中で見失いました。仕方なく進んでいくと、また女の子が歩いていました。女の子の後ろに自転車を止め、公園を抜けて先回りし、通りすがりに今度はナイフで刺しました。自転車に乗り、家に向かいました。救急車やパトカーのサイレンが鳴り響きとてもうるさかったです。ひどく疲れていたようなので、そのまま夜まで寝ました。「聖なる実験」がうまくいったことをバモイドオキ神様に感謝します。

H9・3・17
 愛する「バモイドオキ神」様へ
 朝、新聞を読むと昨日の「聖なる実験」のことが載っていたので驚きました。2人の女の子は死んでいなかったようです。人間というのは壊れやすいのか壊れにくいのかわからなかったけど、今回の実験で意外とがんじょうだということを知りました。

H9・3・23
 愛する「バモイドオキ神」様へ
 朝、母が「かわいそうに。通り魔に襲われた女の子が亡くなったみたいよ」と言いました。金づちで殴った方は死に、おなかを刺した方は回復しているそうです。人間は、壊れやすいのか壊れにくいのか分からなくなりました。捕まる気配はありません。目撃された不審人物もぼくとかけ離れています。これというのも、すべてバモイドオキ神様のおかげです。これからもどうかぼくをお守り下さい。

H9・5・8
 愛する「バモイドオキ神」様へ
 ぼくはいま14歳です。そろそろ聖名をいただくための聖なる儀式「アングリ」を行う決意をしなくてはなりません。「アングリ」を遂行する第一段階として学校を休むことを決めました。いきなり休んでは怪しまれるので、自分なりに筋書きを考えました。その筋書きはこうです。


なかでも、犯行声明文に書かれた、「ボクには一人の人間を二度殺す能力が備わっている」というのは一体何のことなのか、私はずいぶん長いこと考えた覚えがある。

肉体と精神のことなのか?

それとも生者と死者のことだろうか?

酒鬼薔薇聖斗は、一度殺して、幽霊をもう一度殺せると誇示したかったのか?

小説ではそうやって自問自答しながら、バモイドオキ神、即ち、酒鬼薔薇聖斗であるもう一人の少年自身に従う、少年の空虚さを描いていきたい。

こうした事件に対する世間の態度はほんとうに“決まりきっている”。
宮崎勤事件の時からずっと感じていたことだが、犯人を単に異常と切り捨てるだけでは、その異常者と真っ向から対峙してしまった時、自分の生命と心をとてもではないが護りきれるはずがない。

無視するよりは、勇気を出して、異常な心の内側に入っていって、自分自身に免疫力をつけなくてはならない、というのが私の信念のひとつだ。

それは前作「柱の部屋」でもチャレンジしたモチーフである。キエチーフは人間は柱(神)になれるのかというもので、今回は人間はどこまで空っぽになれるのかを追求していきたい。

人の心は本質的に真っ暗闇なのだ。
そう望むのは、本人なのだが、もう一人の本人は闇の中を照らしたがる。
その矛盾的行為に潜む人間の謎にも触れていきたい。
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