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2010年03月22日06:34

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朝の朗読 其の一 「女たちへのいたみうた」 金子光晴

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あゝ、けふもゆきずりの女たち、
みしらぬ女たち、ことばもかはさず
まためぐりあふ日もないその女たち。
うき雲のやうに彩られて
こころに消えぬ女たち。

その誰と住んでも年月はとび去り
おなじやうに生はからっぽだらう。
放蕩よ。つかひへらした若さは
こぼれた酒とおなじで、ふたたび
このこころを沸かすすべもない。

おしろいにまみれた裸虫さん。
まだあったかい牛乳壜さん。
ねどこのうへにこはれたせとものさん。
二十年前の匂やかだった女たちのやうに
二十年後は、若いあなたも老いてゐるか。

私は、かなしげに眼をつむる。蒼穹のふかみ
おびただしい石の円柱が倒れる。
退場するもののすさまじい鳴響。
さかさまにながれる「時」の血流のなかで、
「一千万人の女たちよ。さやうなら。」
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