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2009年10月12日21:34

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高校時代から書き続けている作品、ピアーダ連作。

小学生の時にアンブローズ・ビアスの「悪魔の辞典」、ジョナサン・スウィフトの「ガリバー旅行記」、「桶物語」、「奴隷訓」を読んで以来、ニヒリストを気取りながら、毒舌家、冷笑家を気取ってきたけれども、自分自身の本性が度し難いロマンチストであることを悟っていたから、“ストレートにブチのめす”のではなく、“趣向を凝らしてブチのめす”手段が私向きであることを早くから知っていた。

従って、例えば、先日も書いたように、ラブレターを“精神的な強姦”と位置づけ、「君が好きだ」の一言で済むものを、わざわざ小話から始めて、おもしろおかしく告白していた。
この小話に関しては、私は特別な思い入れがあって、幼い頃から落語に親しんできたためか、面白い話は目の色を変えて蒐集するたちだった。だから、海外のペンフレンドと文通する際(インターネットがなかった頃)は、どんな片田舎のニュースでもいいから、面白いニュースは欠かさず教えてくれるよう頼んでいた。

高校時代にブラジルはマナウス在住の日系人と文通を始めたのがきっかけで、ブラジル人は世界でいちばん小話が大好きだということを知った。
向こうでは、“Piada”、ピアーダという。
後に、開高健の「食卓は笑う」(新潮文庫)ではピャーダと表記されていることを知ったけれども、聞けば聞くほど、現代における我が国の“笑い方”の威力のなさを思い知って情けなくなったものだ。

簡単に言ってしまえば。

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こういうジョーク精神が現代の我が国には著しく欠けているのである。
お笑い芸人では爆笑問題だけが頑張っているようだが、バラエティ番組ではハッキリ言って政治家たちに見下されている格好なので、もっと彼らを青ざめさせるような風刺家が必要と考える。

それは中曽根とレーガンの頃からすでに感じていたので、私はブラジルのピアーダを蒐集しながら、

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こんなとか。笑。

オリジナルの小話の連作を書き出すようになった。
最初は、ジョージ・ミケシュの「スパイになりたかったスパイ」の影響で、最も有能なスパイとは全世界の“おふくろの味”を再現出来るシェフであるという小話で、人食い人種の集落へスパイに送り込まれて、人肉料理が出来るか出来ないかで正体がバレるというオチだったのだが、世界史を教えている先生にウケがよかったので、気をよくして、全世界の政治と現代史を勉強しながら、「チョンチョン行進曲(Chonchon march)」というタイトルで、小話の積み重ねで連作としてつなげていった。

註)チョンチョンについてはこちらを。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A7%E3%83%B3

メインの設定はこうである。
ブラジルでコーヒー農園を経営している日系人の社長が、左翼ゲリラにさらわれた取引先の日本政府関係者を救出するために、私財で傭兵を雇って自ら指揮をとってジャングルを踏破しながら、士気をあげるために小話を繰り返す。
ジャングルを踏破しているはずが、迷って海へ出てしまったり、米軍に麻薬組織と間違われて米国へ連行されたり、休暇と称してヨーロッパ旅行に出かけたりと、世界中を迷宮のようにさまよいながら、一生懸命小話を繰り返していくというつなげ方で、このへんはルイス・キャロルの「スナーク狩り」を参考にした。
もちろん、実在の人物、実在の組織も実名で登場する。
大きな役割を果たしているのが、フジモリ元大統領(彼に関するピアーダは数百話に及ぶそうだ)、そして左翼ゲリラのセンデロ・ルミノソだ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%B8%E3%83%A2%E3%83%AA

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%8E%E3%82%BD

高校時代から書いているから、日系人社長と傭兵の一団はもう二十年以上も取引先をゲリラから救出出来ずに世界中をさまよっているわけだが、最近書いたのは、もちろん、我が国の政権交代についてのピアーダである(ちなみに最近最もウケたのはチベット騒乱で、中国人とチベット人の見分け方についてキツいジョークを披露した)。

そうやって、攻撃的な笑いを書きため続けているのだが、我が国において風刺精神が死に絶えかけている今、発表する機会は永遠にやってきそうもない。


おまけ>

蒐集しているピアーダで一番面白かった話。

「大臣紹介」

ブラジルの大統領とボリビアの大統領が会議中、それぞれの大臣を紹介する段になった。

最初にブラジル側が紹介を始めた。
「こちらが我が国の厚生大臣、そしてこちらは財務大臣、その隣が教育大臣で、そのまた隣が法務大臣・・・」

ひととおり終わって、今度はボリビアの大統領が紹介する番になった。
「こちらが我が国の厚生大臣、そしてスポーツ振興大臣、その隣が教育大臣で、そのまた隣が海軍大臣・・・」

「ん、海軍?おたくの国には海なんてないのに、海軍大臣なんておかしくはありませんか?」と、ブラジル大統領がツッコミをいれた。

するとボリビアも負けじとこう切り返した。
「なにを言うか、あんたが教育大臣と厚生大臣を紹介したとき、こっちは笑いをこらえるのに必死だったんだぞ!」

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