mixiユーザー(id:1640816)

2009年07月21日05:56

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映画「ダゴン」を観る。

フォト


http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=239428#1



ハワード・フィリップス・ラヴクラフト。
江戸川乱歩や横溝正史に耽溺した小学校低学年の私を、海外怪奇小説へと誘って、いわゆるコズミック・ホラーにドップリ浸かった小学校高学年の私の頭には常に彼の肖像が掲げられていた。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88

なかでも、「インスマウスの影(The Shadow Over Innsmouth )」は、先に創元推理文庫の「怪奇小説傑作集」で読んでいた「ダンウィッチの怪(The Dunwich Horror)」に続いて、魚フェチでもある私の心の琴線に激しく響いた。
キリストよりも海の幸を気前よく提供してくれるダゴンを信奉するようになったマーシュ船長は、我が国だと神仏よりも迷信を信仰しがちだった漁師に大きく重なるので、どんどん異形のものになり果てていく人間側の心情に私はほんとうに感情移入してしまったのだ。

特に、我が国におけるタコとのかかわりは伝説だといくらでもあって、タコを捕まえて一本ずつ足を食べていた娘が残りの足で海へ引きずられてしまう話とか、根っこでラヴクラフトが心の底から恐れ、そして愛した世界と直結してしまう・・・

そういう意味で、ヴィジュアルとしては映画にしやすいけれども、本質的なところまで突っ込まないと失敗してしまう危うさがあって、長らくラヴクラフト作品の映画化は成功出来ていなかった。

しかし。

スチュアート・ゴードンが登場した時。
「リ・アニメーター(死体蘇生者)」でグロテスクなゾンビものを発表し、続けて失笑ものではあったが異様な迫力が忘れられない「ビヨンド(彼方より)」を連発したのを観て。
この男はやるかもしれないと期待に燃えたものだ。
その予感は大当たりして、今回観返した「ダゴン」で見事にラヴクラフトがほんとうに描きたかった、ああいう世界への憧憬を映像化出来ていた。
全編グロテスクの極致ではあるが、所々はっとするくらいの美を感じ、ラストの美しさに感動してしまうのは、ホラーの本質、人間自体の醜悪無惨さが実は芸術家や詩人と同じく美しさを目指す方向性に位置しているということを、あらためて再認識するにはいい機会だと思う。

ちなみに、本作品に出演しているフランシスコ・ラバルは、アラン・ドロンの「太陽はひとりぼっち」からの、スペイン人の名優であり、私にとってはポール・ルデュクの「バロック」の名演で尊敬する俳優なのだが、本作品が遺作となってしまったのには、「ゲゲゲの鬼太郎」が遺作になった我が国の緒形拳と通じる、(挑戦のしがいがあれば作品を問わない)役者魂を感じる。
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