この私、犬神博士と、禅僧の万太郎がお寺の縁側で繰り広げる「世間話」、せいまん縁側放談、第二回目は「お金の使い方」。
始める前に、話の合間に出るお金の色々な呼び名をご紹介。
悪銭、いのち金、あぶく銭、捨て金、虎の子貯金、そして私が造った呼び名「骨銭(こっせん)」。
骨銭の意味はこの後明らかになります。
「よっ、退院おめでとさん」と万太郎。
「ありがとよ」と私。
「お祝いにお布施もらったって?いくら?」
「合わせて三十七万円」
「おお、相変わらず人気あるな、おめえは。オレも入院しよっかな」
「簡単だよ、コタツのなかで一週間くれえ生牡蠣あっためてみな。そいつを呑み込みゃあ、めでたく入院だぜ。そん時ゃあ、オレもお布施出すからよ」
「そうでもしなきゃ、入院出来ねえんだから、全くこの健康な身体がうらめしいぜよ」
「禅宗の坊主は風邪もひかねえんだからしょうがねえじゃねえか」
「ああ、禅てなぁ、健康法そのまんまだかんな・・・ところでお布施、いつものように寄付すんのかい」
「うん、孤児院(現在は児童養護施設と呼ぶが私はこっちで呼んでいる)と老人ホームにそれぞれ十五万ずつ。残り七万はウチの子らの養育費さね」
「毎度ながらわかんねえなぁ、今までの分だって寄付しねえで全部貯金すりゃあ、新しい家すぐにおったてられるだろうに。捨て金だよ、ハッキリ言って」
「バッカ、家を建てるお金ってのはてめえで働いたゼニでなきゃ意味ねえんだよ。コツコツ、てめえの骨身を削って貯めた骨銭(こっせん)でなきゃな。あぶく銭だの、悪銭だのでおったててみろ、情の入り方からして違ってくるんだから、すぐ火事で燃えちまったり、泥棒に入られちまわあね」
「でもお金はお金じゃねえか、何の違いがあんだよ?」
「大いにあらあね、きれいなお金ときたねえお金ってあるじゃねえか。そこからしてもう違うんだよ。どちらも同じ缶コーヒーを買えても、その味わいは全然違うぜ。お金を軽く見ちゃいけねえよ、ありゃあ、マジで霊が憑いてんだからよ、それなりに扱わなきゃいけねえの。寄付するのはあぶく銭をキレイにするためのマネー・クリーニングなんだよ。みなしごと一人ぼっちのお年寄りが少しでも助かりゃあ、どんなにきたねえお金だってきれいになるもんだあね」
「なんでえ、今日はやけにいいこと言うじゃねえか。何か降りてきたのか?」
「うるせえ、そう言うおめえは、まさかお金を間違って使っちゃいねえな?」
「間違う以前に、おらぁ、一万円札なんかめったに見たことねえよ。たまには思いっきり間違ってみてえぜ・・・そうだ、十四年前におめえが宝くじで三千万当てたことがあったじゃねえか」
「おお、あったなぁ」
「あのうち、二千万は寄付しちまってよ、残り一千万でオレを誘ってよ、吉原のソープランドで一ヶ月ずっと毎日豪遊したっけな。あれって間違った使い方だったのかえ?」
「バカいいなさんな、一点の曇りもねえ、正しい使い方だよ。あぶく銭だけに泡風呂で、一生に一度くらいしか出来ねえ貴重な体験をって、おめえと二人でフルコースを堪能することで、きれいな使い方をしたんだよ」
「一人で一人の泡姫を相手にするだけじゃなく、3P、おまけにおめえと二人で一人を二本差し、果ては大乱交・・・無茶苦茶だったよな。確かにこの先二度とねえような神聖な体験だったなぁ」
「オレにとって神聖だったのはよ、ガキの頃からのつきあいのおめえがどんなツラしてイクのかバッチリ拝ませてもらったってことだよ」
「何を、それを言うんなら、オレは二本差しの時、ケツに突っ込んだおめえの感触がアソコに突っ込んだオレの裏スジをゴリゴリ刺激したってえのが、ものすげー何かを感じさせたんだぜ」
「あの時の女の子がすごいちっちゃかったから、結局おめえと抱き合う格好でイッたんだよな、全く・・・」
「オレね、AVなんかでさ、野郎が二人で一人を攻めるっての、アレ今でもウゲッて思っちゃうんだけどさ、おめえとなら全然平気なんだよな。それが分かったってえ意味でもあれはすごい体験だったぜ」
「そりゃよござんした。とにかく、お金はほんとうに意味のあるものにしか使っちゃいけねえよ。意味のある無駄遣いならいいけど、意味のねえ無駄遣いはよくねえぜ。お金そのものにそっぽを向かれちゃうからな」
「よし、オレの方で結構なお金をゲットしたら、今度はおめえ、エッチな温泉で豪遊しようぜ」
「まだエッチしたりねえのかよ!!おらぁ、今度はエッチじゃなくって、外国から孤児を招きたいな」
「ああ、おめえ、言ってたな、白人の少年少女を養子にして、老後身の回りの世話をさせたいって・・・」
「エッチも突き詰めるところまでイクと、サドとかマンディアルグの世界になるのさ。言うじゃねえか、
道を極むるもの、善きかな
って・・・」
「オレは残念ながらノーマルだからよ、温泉でいいや。ところで当たるくじって何か知ってるかえ?」
「知るかよ!!日頃から当たるのをアテにしてんじゃねえ!!コツコツやれよ、コツコツと」
その通り。
身につくお金の基本は、コツコツ稼いだ骨銭と知るべし。それこそがいのち金になるのであり、虎の子貯金として人生との闘いに活きるものなり。
そして、お金に執着するのではなく、お金を稼げるウデを持てるおのれ自身に執着すべし。
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