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2006年03月03日00:13

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「耽奇館主人の日記」自選其の五十四

2004年06月28日(月)
くじのこと。

今日は、会社で、拷問が話題になった。
一人が「拷問全書」を読んできたらしく、みんなで、どんな拷問が一番興奮するのかを話し合っていた。
興奮。
執行する側と、執行される側の心の中で踊り跳ねる、赤きものだ。
「アラブじゃ、今でも生皮を剥ぐやつがあるんだってな」と同僚の一人。
「うわ、そんなのに比べたら、例のイラクの首切り武装勢力の方がマシだよな」ともう一人。
犬神はどんな拷問が一番興奮するんだと聞かれたので、私は小説の中のやつだけど、「くじ」が一番興奮したよと答えた。
「くじ(The Lottery)」。
アメリカの女流小説家、シャーリー・ジャクスンの短編で、発表当時は、文字通り、全米を興奮の坩堝に叩き込んだ。
どこかの貧しい寒村で、口減らしをするために、村人全員で公平にくじ引きをし、当選者を殺すという内容なのだが、この殺し方が読者の内臓をわしづかみにするようなものだった。
村人全員で、石をぶつけて、いじめ殺すのである。
しかも、当選者の子供まで石を投げるのだ。
嫌々投げるのではなく、お祭り騒ぎのように、みんなで嬉々としてはやしたてながら、当選者を追い詰める。
私がこの短編を初めて読んだのは、小学校を卒業したばかりの頃だが、全く、人間の残酷性の活写ぶりに打ちのめされてしまった。
「うへえ、本当にあった話みたいだな」と同僚の一人。
「だからこそ、アメリカ全体が興奮したのさ。自分もそうなるかもしれないというやつでな」と私。
「犬神も石をぶつけるのかい?」と一人。
「そりゃぶつけるさ。楽しいもの。でもな、俺って、くじ運がいいから、どっちかというと、ぶつけられる方だな」
そこで、みんなで乾いた笑い声を上げた。
どんなエグイ拷問であっても。
やはり、人間の心が真っ赤に染まる瞬間には、遠く及ばない。
現在、「くじ」の短編は、早川書房から発行されている、海外異色短編集のシリーズで、同題の短編集として読めるので、興味を持たれたらどうぞ。以下のサイトを参照(Amazon)。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152001127/qid=1141312220/sr=1-3/ref=sr_1_10_3/249-8379157-1897929

なお、今、シャーリー・ジャクスンといえば、ホラー映画「ホーンティング」の原作、「山荘綺譚」もしくは「たたり」(ハヤカワ文庫、創元推理文庫)の著者として知られている。こちらもなかなかエグい話なので、興奮すること請け合いである。映画は映画でオバケ屋敷的な楽しさはあったが、やっぱり人間の壊れっぷりの方がリアルで興奮する。
今日はここまで。
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