「刑事ってのはな、嫌われ、さげすまれ、泥まみれになってればいいんでえ!」
日曜日の帰りに、本八幡の古本屋で、ジャンプコミックス全29巻セット「ドーベルマン刑事」を衝動買いした。
元々はアラン・シリトーの小説を買うために寄ったのだが、小学生の頃のアツイ読後感がよみがえってきて、突き動かされるように、デカイ荷物を抱えて帰宅した。
それで、全巻一気読み。
望月三起也先生の「ワイルド7」はスタイリッシュなアクションだったけれども、こちらの「ドーベルマン刑事」は非常に「泥臭い」アクションである。
七十年代の我が国の世相、風俗など、あれやこれやが鮮やかによみがえり、現在の我が国が失った「アツさ」が胸に迫った。
とにかく読んでいて、怒りにうち震える。
孤児院建設のために、人から何と言われようともせっせとお金をためていた老婆を、過激派が殺し、「我々のために使われてこそ当たり前だ」と正当ぶる回で、ほんとうに、小学生の頃、過激派を見かけたら殴りかかろうと決心したくらいだ。
おかげで、現在に至る、私のアツさは、全然カッコよくなく、下町の頑固オヤジのケンカっ早さそのものである。
だからこそ、ワイルドの草波の非情さ、クールさに限りなく憧れたのだが、私は私自身の泥臭さをそれなりに気に入っている。
加納の啖呵にいちいち感情移入出来るからだ。
それにしても。
自衛隊のクーデター、私設警察、マフィア、殺し屋と、泥臭さとは違った方向でも、そのままワイルドが出張ってきそうな設定には度肝を抜かれたものだ。
特に、両脚を切断してまでも暗殺を成功させようとする女殺し屋とか・・・。
そのへんは、どうしてもいちいちワイルドと比較してしまうので、落ち着いて読めなかった覚えがあるのだが、苦笑、これぞドーベルマンというベスト・オブ・ベストの回があった。
「沖縄コネクション」という回で、悪徳に染まった沖縄米軍を打ち砕くという内容なのだが、血の涙噴出しまくりのストーリー展開が小学生の私を打ちのめした。
殺した後に「グッナイト!」と言う、黒人の殺し屋グッドナイト・ジョーの何という憎々しげなキャラの立ちっぷり。
それを文字通り、骨を噛んで(今読み返してみて、サトウキビだと判明したのだが、当時はあまりの迫力に骨にしか見えなかった)まで、這いずり回ってでも追い回す加納の何という執念と根性。
あれはさすがに、ワイルドの飛葉でも無理である。
無理というより、ワイルドの場合は、ちゃんと作戦を立てて、臨機応変に敵を壊滅させるのだが、加納の場合はあくまでも真っ正面からの殴り込みだ。
もちろん、現実には生命がいくつあっても足りゃしない。
しかし、そこに、私は痺れた。
それをハッキリと思い出し、アツイ七十年代に生まれ育ってよかったとしみじみと感じ入った。
ちなみに。
読者の方々に老婆心ながら申し上げる。
現在比較的入手が容易な、文庫版で買いそろえるのはやめるべきである。
あくまでもジャンプコミックス全29巻セット。
なぜならば、当時のジャンプコミックスの巻末には著名人のコメントが掲載されていて、ドーベルマンの場合は、天知茂氏も絶賛のコメントを寄せているという豪華なラインナップだからだ。
あれを読んでいると、当時の面々がどれだけドーベルマンを愛していたかよく分かる。
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