自分がムカッとしたバリトンは、そういえばかなり前に男声だけのパート練習があったときにも、いたような気がする。そのとき、ほかのバスの人と話していた。だが、そのとき以外の練習では見かけていない。後で聞くと、この人はオペラ合唱団の一人だった。
オペラ合唱団は公募のアマチュア合唱団で、年に数回、OEKのオペラで歌っている。毎回新しく募集するのではなく、ほぼ常連でやっているらしい。自分もオペラの合唱はいくつも歌ったが、どうも好きになれず、今は興味がない。ただ、知人にも何人か歌っている人がいるので、話は聞いている。
もちろん、その知人たちは、今回のような無作法な指摘をする人ではない。
ただ、なかには、歌っている者同士でお互いに注意し合うことが正しいと思っている人もいるようだ。それがその合唱団のやり方なら、それはそれでいい。しかし、そのやり方を別の合唱団に持ってきたら、「なんや、エラそうに」である。それに、「たいした声でもないのに」が付け加えられる。
今は、自分が合唱団で発声や響きについて仲間から言われることはほとんどない。言わせないだけの声を出しているからだと思っている。しかし、それで自分の歌に問題がないと思っているわけではない。むしろ、人から言われなくなったからこそ、自分で自分を戒めなければならないと思っている。
たぶん、この人はオペラ合唱団でのやり方を、そのまま「森の歌」に持ってきたのだろう。「森の歌」もオペラ合唱団と同じ指導者だから、同じやり方でいいと思っているのかもしれない。
それにしても、まず否応なく圧倒されるような声を出してから言えよな。
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