前に日清焼きそばの袋麺を食べたのがいつだったか、もう思い出せない。たぶん大学時代だから、50年以上前になるだろう。結婚してからは家でインスタントラーメンもほとんど食べていない。妻も食べないのだ。
畑の小屋には非常食としてインスタントラーメンを置いてあるが、食べたのはカップ麺とペヤングの焼きそばを一度ずつ。袋麺の焼きそばとなると、本当に久しぶりである。
合唱団の練習を終えて帰宅すると、夕食がなかった。
「食べてくると思ってた」
練習前に畑へ水やりに行ったので、どこかで食事を済ませたと思ったらしい。
「じゃあ、これでいい? でも、どうやって作るんかな」
妻が戸棚から取り出したのは、先日スーパーで何となく買った日清焼きそばだった。
「フライパンでいいよ。水入れて」
「じゃあ牛肉とピーマンを入れるね。でも具は先ね」
自分はそのままパソコン部屋へ行き、合唱団の練習録音をグループLINEに流した。いつもならすぐに「できたよ」と声がかかるのに、この日はなかなか呼ばれない。居間へ下りると、妻はまだキッチンで悪戦苦闘していた。
「難しい」
「なんで? 3分でできるよ(笑)」
ようやく出来上がった焼きそばは、キャベツと牛肉と畑でとったピーマンが入っていておいしかった。だが辛くて何度も水を飲んだ。50年ぶりに食べたその味は、学生時代の記憶とほぼ同じだが、こんなに辛かったのか、焼きそばが変わったのではなく自分の味覚が変わったのかな。
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