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2026年07月03日03:02

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ASD(自閉スペクトラム症)のテレビ放送

昨日、フェイスブックを見ていて、たまたま知った情報。
 ↓
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1月に放映された
「ハートネットTV
社会的カモフラージュ “普通”を装う大人たち」が,
7月7日(火)午後8:00〜午後8:30に再放送されるそうです。


他人事ではない。


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テレビがない人(最近の若者はテレビを必要としないよね)や、NHKワンに登録していない人はこれ、見れないのです。


どんな内容だったのかは、NHKのHPにアップされていました。
なので、私がこの話をいつでも読めるようにここに記録に残します。
(長いけどあせあせ(飛び散る汗))


https://www.web.nhk/tv/an/hntv/pl/series-tep-J89PNQQ4QW/ep/QMXW1L6KW3?fbclid=IwZnRzaASzhBxleHRuA2FlbQIxMQBzcnRjBmFwcF9pZAo2NjI4NTY4Mzc5AAEeUl9niO34EhZSRD_8xlpv3wPanXGiSlwleD7G41ygVGyBZyrhlwAT-xUWa0Y_aem_rv296T7dHQPNfMciAP56-A


・・・・・・・・・・・・・・

2017年、イギリスで発表された「社会的カモフラージュ」の論文が世界的に注目を集めた。
知的障害のないASD(自閉スペクトラム症)の成人が自らの特性を隠し“普通”を装うことで深刻な精神的負担を抱えるという。
「隠したい」という理由で取材拒否が続く中、「カモフラージュの苦しみを伝えたい」と一人の女性当事者が顔出し・実名で取材に応じてくれた。
“普通”に生きるために苦しみ続ける人たちの、知られざる現実。

目次

4項目
1.社会的カモフラージュとは?
2.当事者・秦まりほさんの日常
3.自らを押し殺し、増す苦しみ
4.でも、社会に参加したい


カモフラージュとは?

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2017年、イギリスで発表されたある論文が、世界的な注目を集めました。

研究テーマは「社会的カモフラージュ」。自閉スペクトラム症(知的障害を伴わない)のある当事者が自らの特性を隠し“普通”を装うことを続けることで、深刻な精神的負担を抱えるのだといいます。

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social camouflaging

しかし、なぜ自閉スペクトラム症の特性を隠すのでしょうか?


【当事者】
小学校の高学年ぐらいから、空気を読むのが難しいので、空気をちょっと乱すような発言をしてしまったりとか、普通にやっているつもりだったことが、どういうわけか周りにとっては全然普通じゃないみたいな。
でもやっぱり自分は普通として扱われたいし。
自分にとっては楽しくないけど楽しいフリしてみるとか、まずもって「やりたくないことをやっている」っていうところがあるので、ものすごく疲れていますね。
帰ったらもうほとんど気絶するような感じで寝ちゃう。
もうそのまま本当に12時間ぐらい寝て、朝急いで出かけるみたいな。


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「普通」になりたい。でも無理をして自分の特性を隠すことで、苦しんでしまう。

【信州大学医学部 教授 本田英夫さん】

みんな「そう言われてみれば、そりゃ、誰だって多少はやるよ」って思うわけで。
だけど、それを超えちゃうわけですからね。
ASDの人たちのカモフラージュっていうのは、「それをしないと自分の人生が終わってしまう、だから自分はこれをしないといけないんだ」っていう、悲壮な覚悟を持ってやってるようなところがあるんじゃないかと思うんですよね。

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信州大学医学部 教授 本田秀夫さん

実際、カモフラージュをする当事者に撮影依頼をするものの、「隠したい」という理由で断られ続けました。
 
2.【動画あり】当事者・秦まりほさんの日常

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取材を重ねる中、「カモフラージュの苦しみを伝えたい」という親子から、撮影の許可をもらいました。
親子の希望は、すべてを隠さずに伝えること。

自閉スペクトラム症の当事者の、秦まりほさん。
自閉スペクトラム症は先天的な脳機能の障害で、人口の1%〜3%ほどいると考えられています。

【まりほ】
障害診断名「重度の自閉スペクトラム症(知的障害を伴わない)」。
見えない障害なので、分かりにくいです。
話せなくなる、けいれんするなどのパニックが起きることがあります。
静かで暗い場所に行くことで落ち着くことができます。
救急車は不要です。

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まりほさんから手渡された、自身の症状などを説明した書面

【ディレクター】
基本的に、撮影しないほうがいいってことはあります?

【まりほ】
いや、お手洗いの中とかはちょっと困りますけど、そういうこと以外だったら大丈夫だと思います。

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【ディレクター】
パニックという話が少し出ましたが、そういう場面を撮影しても大丈夫ですか?

【まりほ】
はい、大丈夫です。
それも含めての、今回の意味だと思っているので。
はい。

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社会的カモフラージュとは、一体どのようなものなのか?
まりほさんは音楽家の母と共に、歌手の活動をしています。
この日はマネージャーを入れた3人での打合せです。

まりほさんの場合、打ち合わせ中に4種類の社会的カモフラージュをしていたことが分かりました。

�〜蠎蠅帽腓錣擦董半个Α�
�∩蠎蠅帽腓錣擦董班従陝匹鮑遒�
�A蠎蠅痢般棔匹鮓�る
�ぁ叛爾陵淪函匹鯤僂┐�

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【まりほ】
セットアップして音響チェックして、ご飯? かな?

【マネージャー】
そんなにリハしないもんね。

【まりほ】
しない。4曲だし。

【万里子】
もえちゃん(マネージャー)はたぶん、ご飯食べるヒマないからね(笑)。

【マネージャー】
食べるよ、私

【万里子】
分かった、分かったよ(笑)。

【マネージャー】
あははははは。


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一見、穏やかな雰囲気ですが、まりほさんはこのとき、まさにカモフラージュをしていたといいます。


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【まりほ】
私、自分で笑った記憶がないんです。
あのときに。

まりほさんは、相手が笑うのを見てマネをして笑ったといいます。

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【まりほ】
周りが笑ったら私も笑うっていうのが、たぶんもうプログラムされちゃってるっていうか。
私はあまり表情が自然に顔に出てくるっていうことがないときがあるんですけれども、無表情だと相手が自分の話を聞いてもらってないっていう気持ちにさせちゃうんじゃないかと思うので、話の内容にふさわしいであろう表情をつけて聞く。

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まりほさんは、相手の目を見ることが苦手だといいます。
しかし……。

【まりほ】
ちゃんと通じているよっていうことを示すために、時々はちゃんと目を見て話そうとか、その辺は意識しているし。

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【まりほ】
あとは、声の抑揚も時々気をつけています。
何かを教えてもらったとき、「あ、 分かった」程度にして。
知らなかったことだとすると、「あ! 分かった!」というふうに抑揚をつけるとか。

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まりほさんは相手の表情や発言をつぶさに観察し、頭をフル回転して対応しているそうです。

【まりほ】
フル回転をしないで人の話を聞くという感覚は、あまりよく分かっていないと思います。それが多分私にとってずっとだから。

うまくコミュニケーションを取れているように見えますが、 しばらく経つと、まりほさんはこらえていた負担が表に出ます。
マネージャーが帰った直後のことでした。

【万里子】
いいよ座って。お疲れさん、お疲れさまでした。
よーし。

まりほさんの場合、過度なストレスが溜まって負担になると、けいれんを起こすといいます。

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けいれんを起こすまりほさんに寄り添う万里子さん

 
3. 【動画あり】自らを押し殺し、増す苦しみ

母・万里子さんは、まりほさんが幼少期の頃、自閉スペクトラム症の特性に気づいていませんでした。

【万里子】
一番最初にアレ?って思ったのは、幼稚園のとき。
アイスクリームを食べていてスプーンが落ちたら、ずーーっと、そのスプーンが落ちたことに泣いていたんですよ。
「スプーンが落ちた。スプーンが落ちた」って言って。
洗って目の前に持っていったら「よかった」って食べ出すのかと思ったら、「落ちたことが嫌だった」って言って、ずーっと泣いていて。
参観日とかでも、例えば「99点だったー!」とかって泣いてひっくり返っているんですよ。
「100点じゃなかったー!」って言って。周りの80点ぐらい取っている子はみんな「80点も取れたー!」とかって言っているのに、99点でひっくり返って泣いているから。
完璧主義なんだなあと思いました。

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まりほさんの母・万里子さん
そしてまりほさんは、中学生になったころ、カモフラージュをするようになりました。

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  中学生のまりほさん(右)

【まりほ】
そんなに会話は得意じゃなかったけど、「あ、今なら会話できる」と思ってしたら、「今の空気読んでなかったよね」って言われたっていうのがあって。
「そうか私、自然にしていると、空気が読めないってことになるんだな」と思って。
そう言われることは、私、すごく嫌だったので。

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「空気が読めない」「変だ」という言葉を、周りから何十回、何百回と言われ続けたことが、引き金となりました。

【まりほ】
変じゃないと思っているときに「変」だっていわれて傷つくのを避けるために、だんだん周りと同じような行動を取ろう、周りに自分が「変だ」って言われそうなことは、なるべく言わないようにしようっていうふうにし始めちゃう。
でも、そうすると、どんどんどんどん本来の自分っていうのが押さえつけられていってしまって、本来の自分と、自分がやっていること、言っていることっていうところに、どんどんズレが生じてきてしまって。
結果的には、自分は本当は何を考えているのか、何を感じているのか分からなくなるっていうところまでいってしまうっていうことがあります。

【万里子】
だって、私といたって、リラックスしてないときあるんでしょ?

【まりほ】
うん。

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ずっとそばにいる母親にすら、まりほさんはカモフラージュをしてしまうといいます。


【万里子】
私の前でもカモフラージュをしているなんて、思ってもいなかったのでね。
楽しそうな話をしているときはニコニコ話を聞いていたけど、「あれ。顔作らなくてもいいかな」って言われたときには、本当にびっくりしました。

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いつしか、まりほさんはカモフラージュなしには生きられないようになっていました。
特に見知らぬ人と会話をするとき、より一層、負担が増すといいます。
受付でのちょっとしたやりとりでさえ、まりほさんは頭をフル回転するそうです。

【まりほ】
秦です。秦まりほです。
はい今、会員証を出します。
きょう、マイクを1本、無料のマイクを借りたいです。

【受付】
はい。

【まりほ】
ありがとうございます。
あと、お水を買います。

【受付】
130円です。

【まりほ】
はい。今(お水を)持って来てから(お会計)ですよね?
私がね。
(自分の杖を倒し音が鳴ってしまい)
ああ、ごめんなさい。
ああ、ダメだ。


【まりほ】
会話って移り変わっていくものだから、その中での流れを把握することっていうのがすごく難しいので。
分からないなりになんとかその場をつながなきゃいけないみたいな。

そして、疲れ切って帰宅したまりほさんは……。

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帰宅し、机に伏すまりほさん

【まりほ】
はぁ。

【万里子】
お疲れ。なんか飲む?

【まりほ】
今、大丈夫。

【万里子】
大丈夫?

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泣きながら自分の顔をたたくまりほさん

【万里子】
絶対つらいよね。

【まりほ】
メガネが壊れそう。

【万里子】
痛い。痛い。つらいねえ。
よしよしよしよし。


これが、まりほさんの、日常。

社会的カモフラージュによる負担は、軽度の人から、まりほさんのように重度の人まで、さまざまだといいます。
なぜ、違いが出てくるのか。そのメカニズムは、まだ解明されていません。

大島郁葉教授。社会的カモフラージュの研究と、多くの当事者のカウンセリングに携わっています。

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【大島】
カモフラージュって、マジョリティーの世界に合わせるように、合格をもらえるように、マイノリティーたちが孤立奮闘するような状態を指すんですね。
動物に例えるなら、普通の人が犬として、犬の学校に猫が通うみたいなことになるので。ドッグフードを食べておいしくないけど「おいしいね」と言ったり、体育の授業で、ドッグランを犬が走ってキャンキャン喜んでいて、猫は走りたくないけど走っている。そのぐらい無理をして合わせているような状態だと思われます。

ある研究によると、社会的カモフラージュをすればするほど、 社交不安・全般性不安などが強くなる傾向があるといいます。(Hull et al.(2021)Molecular Autism)

【大島】
研究によっては、女性のほうが多かったというものも多いです。それは女性のほうが社会的に結局ダブルマイノリティーになるので、自閉症と女性であるということで、社会的には気を利かせないといけないとか。先走っていろんなこと考えて動かないといけないとかっていうところがソーシャルプレッシャー、社会的な圧力としてかけられてしまうので、結構女性のほうがどうしても多くなってしまうってことがいわれています。

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「女性のほうが、社会的カモフラージュを行う傾向にある」という研究もありますが、現時点ではっきりとは分かっていません。
 
4. 【動画あり】でも、社会に参加したい

取材を始めて2か月。まりほさんは体調によって、歩くことが難しくなるときもありました。

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自閉スペクトラム症と診断されたのは10代後半と遅く、それまで支援を受けたことはありませんでした。
今、まりほさんは、定期的に医師の診察を受け、カモフラージュを減らそうと努力しています。


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まりほさんの主治医 本田秀夫さん(右)

【まりほ】
人と話して情報交換したいとか、人と話したいなという気持ちもあるんですけど、実際するとすごく負担になるっていうのはどうしてもあるんですけど。
私なりのやり方を見つければ、負担はそんなにかからないというか、減ってくるものなのか。
それとも、会話というのはそもそも私にとっては負担なものなのかっていうところが知りたいです。

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【本田】
自分が「ここまでは負担なくできるけど、ここから先は負担だ」とか、「まったく知らない人だったら、このぐらいの負担感までで、ちょっと自分はアウトになるだろう」って、そういう感覚がつかめると。
その経験を積んだらできるようになるっていう保障は必ずしもないと思うんですね。
だけど、例えば「きょうはもつだろうな」とか、「もう、ちょっとこの辺でやめといていいだろうな」っていう感覚が分かると、過剰な負担感は感じずに済むようにはなるとは思うんですね。

【まりほ】
なるほど。

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【ディレクター】
先生、率直にまりほさんは、昔と今を比べるとよくなっていますか?

【本田】
よくなっていると思いますよ。やっぱり自分のことを分析できるようになっているんで。

【ディレクター】
そうやって大人になっても安定していくってケースというのは、臨床経験上、十分に感じられます?

【本田】
あります、あります。多少の気分の変動はあったとしても、それが大きく社会生活を損ねることなく、予防する手段を考えついて、ある程度それが生活の中でできるようになってくると、落ち着く方は多いですよね。

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まりほさんの主治医 本田秀夫さん

まりほさんは、自宅に籠もって人との関わり合いをもたなければ、カモフラージュの負担は減ります。

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インタビューを受けるまりほさん
しかしまりほさんには、「人に会って交流したい」という、強い思いがありました。

【まりほ】
私にとって、自分に負担なく自分でいられるコミュニケーション方法があるなら、知りたいなと思っているのがどちらかというと大きいです。
すごくやりたいのに、「もう、無理」ってなるのって、結構自分にとってジレンマでもあるし、人と話している間に自分の調子をモニターしなきゃいけないっていうのも、それはそれですごく難しいので。
でもまあ、「あきらめたら終わりだな」と思うところもあるし、人とコミュニケーションをとることは私は嫌いじゃないし。「あ、よかったな」って思える瞬間もあるので、希望は捨てていないという感じですね。

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まりほさんにとって、大事な活動があります。
音楽家の母と一緒に行う、講演会。

【まりほ】
皆さまこんにちは。私は自閉スペクトラム症でシンガーのまりほで、こちらが母の万里子です。

【まりほ】
自分がカモフラージュすることが当たり前になっていたので、「本当はこう感じてるけど」とか、「本当は感覚的につらい」とか言えるようになったのは、ここ2年?

【万里子】
うん。そうだね。

【まりほ】
ぐらいだと思います。

まりほさんは自らの社会的カモフラージュの経験を、歌にしていました。

朝おきて鏡みる
今日こそうまくいきますように
振り返られることもなく
となりと同じでいられますように

知らぬ間に暗闇に
取り残されることもなく
大好きな人たちに
迷惑かけず笑えますように

そしてそれはやってくる
何度も何度も繰り返し
隠して飛び出し共倒れ
目には見えぬ私の一部

たたかい泣いて問いかける
「あなたは一体だれなの?」と
答えは逃げて行き止まり
私が腕を広げるまで

(『ある日の私』作詞:秦まりほ 作曲:秦万里子)

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【まりほ】
ありがとうございます。
今の歌のように、自分の特性を隠して結局はパニックになって、周りも自分もヘトヘトっていうことを繰り返して、このままじゃいけないって、やはり思うようになって。
もしかしたらカモフラージュって必要ない。
むしろ私にも周りにも悪影響なものなのかもしれないというふうに、心境の変化がだんだん起きてきました。

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まりほさんのように、社会的カモフラージュを行う人たち。専門家たちはその存在を、社会全体で理解する必要があるといいます。

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信州大学医学部 教授 本田秀夫さん

【本田】
その人の立場にはなれないけど、「世の中にはこういう人もいるんだな」っていうことを、少なくとも頭では分かってもらうってことは大事じゃないですかね。
「一般の人たちが何であんなに長時間、人としゃべってられるんだろう」とか、ASDの人たちにとっては、想像つかないと思うんですね、お互いにね。
みんなが「自分ができるから、この人もできるだろう」と、絶対思っちゃダメなわけですよ。
まりほさんの場合、背景には他の人たちから見ると想像もできないような状態があるんだっていうことを、たぶん知ってほしいんだと思うんですよね。
そこまで含めて知ることが、自閉スペクトラムの人たちを、共感はできないけど理解する上ではとても必要になってくるんじゃないですかね。

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千葉大学 教授 大島郁葉さん

【大島】
いろんな人たちがそれなりに自閉症であることに傷ついて、「ヤバイ」、「自分でどうにかしよう」と思っていて。
誰も助けてくれないから自分でどうにかしようと思っているわけで。誰かがそこで助けてくれたりとか、「みんな違っていいんじゃない」って誰かが言ってくれたりとかする社会だったならば、また違うのかなと。
だから、その画一的な価値観に染まった社会構造が非常に問題なのかなと。
マジョリティー側の課題なのかなとも思います。

社会の多数派が求める「普通」ということ。その「普通」に近づこうと、自らを押し殺しながら生きる人たちがいます。
まりほさんは、その壮絶な苦しみを私たちに、教えてくれました。

【まりほ】
お母さん、たぶん来ちゃう、たぶん来ちゃうわ。
どうしよう。

【万里子】
大丈夫、大丈夫。つらかったね。



自閉スペクトラム症(知的障害を伴わない)の成人の約70%が
社会的カモフラージュを行う傾向がある
(Cage et al.(2019)J Autism Dev Disord)
 
※この記事は、ハートネットTV「社会的カモフラージュ “普通”を装う大人たち」(初回放送:2026年1月20日)を基に作成しました。
情報は放送時点のものです。

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