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2026年06月16日06:45

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あの時もっと言えば(6978)

ふと、たまに思い出す。

ある年、演劇部に3年生の男子生徒がいた。異動してきたばかりで詳しい事情は知らなかったが、1年生のときに不登校となり出席日数が足りず留年していたため、高校4年目だった。授業を担当していたわけではなく、顔を合わせれば少し話をする程度の関わりだった。

11月の新人大会では、文化部も合同発表や講習会に参加する。対象は主に1、2年生だが、彼も演劇部員として参加していた。運動部でもマネージャーやスタッフとして3年生を連れて行くことはあるが、ごくまれなケースである。

その年の夏、東京の劇団ひまわりの研修生試験に合格し、卒業後は東京へ行くと聞いていた。ところが12月になって、彼は高校を辞めてすぐに東京へ行くと言い出した。顧問も担任も引き留めた。高校3年生は2月10日頃には自宅学習期間に入る。実質あと1か月ほどで卒業であり、しかも多少休んでも出席日数は十分足りていた。籍だけ残しておけばいいのではないか、と誰もが考えた。しかし本人の決意は固く、そのまま退学して東京へ向かった。

翌年の8月、彼が学校を訪ねてきた。劇団のスタッフか友人から「せめて高校は卒業しておけ」と言われたらしく、相談に来たのだった。ところが彼は、復学して残り1か月だけ通えば卒業できると思っていたようだ。実際には高校3年生を1年間やり直さなければならないと説明され、それなら無理だと諦めて帰っていった。

直接の当事者ではなかったが、今でも時々「あのとき話をしておけばよかったのではないか」と思うことがある。もっとも、顧問や担任が説得しても聞かなかったのだから、自分が何か言ったところで結果は変わらなかったかもしれない。

通信制高校などで残りの単位を取得する道もあったはずだが、その後どうしたのかは知らない。ただ、卒業まであとわずか1か月というところで学校を去った彼の姿だけは、今でも時折思い出すのである。
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