コンサートが終わり、ロビーにお見送りに出た。たくさんの合唱仲間が聴きに来てくれていた。
以前は演奏が終わるとすぐに片付けや着替えに向かっていたが、最近はできるだけロビーに出るようにしている。男声合唱団のようなロビーコールはしないので、お客さんには軽く会釈をして帰っていただく。
昨日は感想を話してくれる人が何人もいた。
「よかったですね」
「声がわかりましたよ」
そんなふうに言われたのだが、こういう場面で何を話せばいいのか、いまだによくわからない。結局、「ありがとうございました」と頭を下げるくらいである。
師匠からは「良い声でした」と言われたのだが、少し違和感があった。もちろん悪い気はしない。しかし合唱はアンサンブルである。自分の声を褒められても、どこかしっくりこないのだ。
帰りの車の中で妻が言った。
「バスの声で、たぶんあなたかなと思うところはあったけど、ちゃんとまとまっていたし、一人だけ抜けて聞こえることはなかったよ」
それを聞いて安心した。合唱では、自分の声が目立つことよりも、全体の響きの中で役割を果たせていることのほうが大切だ。だから「一人だけ抜けて聞こえなかった」という言葉は、自分にとってはむしろ褒め言葉だった。
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