1ヶ月ほど前から、左の奥歯に妙な違和感があった。前回歯医者に行ったのは半年ほど前だから、そろそろチェックに行く時期ではある。おそらくまた虫歯だろう。
だがいつも痛いわけではない。ときどき何かが引っかかるような感覚があるだけだ。これまでもこんな感じで、ある日突然強く痛み出して歯医者に駆け込む、というパターンを何度か繰り返してきた。「またそれか」という気分である。
左の奥歯は、唯一残っている親知らずが内側に出ていて、いわば三角形のような配置になっている。歯間ブラシやフロスが入りにくい。結果として、これまでも何度か治療の対象になってきた場所だ。今回も同じだろうと思っていた。
ところが、痛みの状態がどうにも説明しにくい。押しても痛くないし、レントゲンを撮ってもはっきりした異常は見つからない。
「これだと思うんですが、抜きましょうか」
痛みがある以上、原因はどこかにあるはずだが、外から処置できる状態ではないという判断だ。以前から「いずれは抜くことになる」と言われていた歯でもある。
処置の途中で、歯科医が言った。
「折れてますね」
後で見ると、奥歯はちょうど真ん中から折れていた。
「なぜ折れたんでしょうかね。加齢ですか?」
「歯は折れるものです」
そりゃそうだ。抗生物質と鎮痛剤をもらって帰宅。まだ一本、治療が必要な歯が残っている。しばらくは歯医者通いが続きそうだ。
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