ホテルの夕食は7時半に終わった。さて、どうしようか。ビュッフェ形式だったから、どうも飲み足りないし話し足りない。男13人のOB会である。このまま誰かの狭い部屋に籠もるのもどうかということで、ラウンジでもないかと探したが見当たらない。
琵琶湖畔のびわ湖大津プリンスホテルは立派なホテルだが、館内にも周囲にも居酒屋らしい店がない。フロントで聞くと、歩いて5分ほどのところに店があるという。
外へ出ると、3月の琵琶湖の風は容赦なく冷たい。湖から吹きつける風に肩をすくめながら歩く。5分と言われた道は15分、体感では30分くらいに感じた。ようやく見つけたのは、24時間営業のカラオケ店だった。
自分はカラオケとは縁が薄い。去年、コンクールの本番前に声出しで入ったぐらいで、実際に歌ったのは、家族で行った15年ほど前が最後だ。
順番に歌い始めると、さすがに皆うまい。大学時代にコーラスをやっていた連中である。自分は聞き役である。
そのうち誰かが、昔コンサートのポピュラーステージで歌った曲を入れた。すると自然に皆で歌い始める。合唱らしくなったのは「筑波山麓男声合唱団」くらいで、あとはほとんど斉唱だが、10人以上が声を張り上げるとそれだけで妙に楽しい。
10曲ほど続いたところでようやくお開き。また冷たい風の中を歩いてホテルへ戻った。
考えてみれば、いい歳をした男が13人、琵琶湖の夜風に震えながらカラオケまで歩き、声を張り上げて歌って、また震えながら帰ってくる。若い頃と、やっていることはほとんど変わっていない。違うのは、翌朝みんな声が枯れていることくらいだろう。
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