声楽を始める前の自分にとって、オーディションとはどこか理不尽で、基準の見えないものだった。まあ小心者だから、ビビっていたのだ。
最初は大阪の合唱団である。《マタイ受難曲》の男声追加募集に応募したが、結果は不合格。その経緯は以前書いた。
OEK合唱団が結成されたときも縁がなかった。オーディションの日が海外旅行と重なり、帰国後に連絡すると「締め切りました」の一言で終わった。
数年後、OEK合唱団で《マタイ受難曲》をやることになり、オーディションが行われた。課題曲はコールユーブンゲンでも可とあったので、それを歌った。結果は補欠合格。当日、楽譜を忘れて慌てて借り、急いで歌った曲が練習していた曲と違って、もたもたした。終わってから「なぜコールユーブンゲンを歌ったのか」と言われた。可となってたんだが。
なにわコラリアーズのときは、多田武彦の作品を演奏するということで、合唱連盟の機関誌に公募案内が載った。応募すると「何か歌った録音を送ってほしい」と言われた。自分はソロ経験がほとんどない。ジョイントコンサートのアラカルトで歌った「アカシアの径」を送ったところ、入団を許された。しかしその後の入団希望者には、録音提出など求めていなかったようだ。わけわからん。
これらは声楽のレッスンを始める前の話である。
2016年、OEK合唱団で《モーツァルト・レクイエム》のオーディションがあった。募集要項を見ると、楽譜の一部を指定したグループオーディション(カルテット)と明記されている。何を聴かれるのかが、はっきり分かる形式だった。
その年の1月から声楽を始めていたので、「今回は楽々通るだろう」と思っていた。結果はその通りで、合格した。最初の練習日からステージオーダー通りに並び、自分はバスの最前列中央、指揮者の正面だった。結構気疲れした。
その後の《フォーレ・レクイエム》のオーディションでも、課題曲は曲中の一部が指定されていた。これも問題なし。
声楽を始めてからのオーディションは、落ちる・受かる以前に、「何を準備すればよいか」が分かるものになっていた。
今回は《第九》と《森の歌》。何を基準に選ばれるのかは分からない。だが、だめならだめで、それでもいいと思っている。
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