野村 慶太郎
【緊急投稿 広島の牡蠣大量死の原因に関するバイオテクノロジー企業経営者から見た考察と緊急調査提言】
広島で牡蠣が9割死滅するという大変な事態になっている。
これは、私が昨年「予言」したとおりの最悪の事態が現実になってしまった。
昨年はアサリが大量死した。今年はやはり牡蠣だった。
原因は「猛暑による海水温の上昇が主原因」で片付けられようとしている。
だが、今年の猛暑は史上初ではない。いわゆる“特異点”とは断じられない。
一方で、私が昨年のアサリ大量死以来調査を勧めている原因は全く検討されていないのだが、海外の事例を見ると私が主張している原因が最も可能性が高いことが明白だと思う。
それは沿岸の廿日市市のリゾート大造成工事と泥水の垂れ流しだ。
海を守るために山に木を植えることの重要性は小学生でも知っているが、その真逆をここ数年ずっとやっている。
そして公的機関の海流マップを見ればすぐに分かることだが、今回牡蠣が大量死している地域は、廿日市市の大工事現場沿岸の海流の先である。
利害関係者が多いのだろう。
行政も誰もこの因果関係の可能性に触れない。
工事を停止してアセスメントをする様相もない。
廿日市市では、昨年は出るはずのない海沿いの高校や住宅地に熊が出没した。
山を無策に乱開発したことが原因なのは明らかなのに「因果関係は証明されず不明」という行政の回答だった。
こんな非科学的でデタラメな状態で、被害を被っている牡蠣養殖業者は良いのだろうか?廃業の危機なのに、納得しているのだろうか?
いや、広島県民は広島が世界に誇る特産品をこんなバカな理由で失っても良いんだろうか。
工事はいまだに続けられている。
そしてこの海の状態は一過性のものではない可能性も高い。
“終わりの始まり”の可能性が否定できないと私は思っている。
私は右翼でも左翼でもないし、環境運動家でもないので、この件を政争のネタにしたり、陰謀論やSFチックな空想を拡散するつもりはない。
ただ、瀬戸内海に育ち、牡蠣を食べて育った人間として、故郷の海を壊したのが何なのかを、科学的に真剣に調べ、問題を多角的かつ科学的に直視して再発防止に真摯に取り組むべきだと言いたいのだ。
それが地元の科学に携わる仕事に従事する者の義務だと思うのだ。
ここにその仮説の論拠を述べ、1人でも多くの牡蠣養殖業者さんの目に触れ、何者かによって黙殺されかけている「もう一つの可能性」を科学的に検証して欲しいと思う。
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【地元広島限定 緊急論考及び調査提言】
バイオガイアジャパン株式会社 代表取締役会長兼CEO
野村 慶太郎
山を削ると、海が壊れるのか?
――広島のカキ大量死と「見えない微生物叢」の科学
■ はじめに:海水温だけでは説明できない「異常」
広島湾で、カキが前例のない規模で大量死した。
一部地域では 8〜9割が斃死し、漁業者は「経験したことがない」と語る。
行政・報道の多くは、原因を「海水温の上昇」と説明する。
しかし、科学的に見ると問題は単純ではない。
水温が高かった“だけ”で、過年度との違いを説明できるのか?
むしろ今回の現象は、
海の微生物叢(びせいぶつそう:微生物群集)の急激な変性を伴う
“複合環境ストレス”
と見る方が、国際的な知見と整合する。
そして、広島湾で起きた現象は、海外で繰り返されてきた、
「造成工事 → 土砂流入 → 微生物叢変性 → 貝類大量死」
モデルと驚くほどよく似ている。
■ 微生物の海:牡蠣は「海そのもの」を食べて生きている
海水1mLには、
• 細菌:100万〜1,000万個
• ウイルス:その10倍
• 微小藻類・原生生物:数千〜数万個
が存在する(*Falkowski et al., Science, 2008)。
これらは海の“生態系の根幹”であり、
この 微生物のスープ全体を濾しとって生きるのが牡蠣である。
したがって、海の微生物叢が変わる=牡蠣の環境が根本から変わるということだ。
■ 山を削ると何が海に入るのか
廿日市市のように山が海に迫る地域で大規模造成工事が行われると、降雨時に次のような成分が海へ流入する。
• 土砂・粘土粒子(シルト)
• 山の有機物(腐葉土・植物起源の有機酸)
• 鉄・アルミニウム・マンガンなどの金属元素
• コンクリート由来のアルカリ物質や工事関連化学物質
これらは海で次の変化を呼ぶ:
● 濁度上昇 → 光量低下 → 植物プランクトンの組成変化
(*Gargett et al., J. Mar. Res., 2004)
● 粘土が海底に堆積 → 「酸欠層」が形成され微生物群集が死滅
(*Thrush et al., Science, 2004)
● 有機物が細菌の“エサ”となり一部細菌が暴走 → 酸素を消費
(*Paerl et al., Nature Reviews Microbiology, 2014)
結果として、湾全体の微生物叢が「別物」になる。
これは世界中で確認された現象である。
■ 海外では「造成→土砂→貝大量死」は一般的な現象だ
◎ カナダ・BC州
森林伐採・道路工事後の土砂流入で、牡蠣・ムール貝が大量死。
原因は 濁度上昇による微生物叢の劇的変化と結論。
出典:
Weill & Shields, Canadian Journal of Fisheries and Aquatic Sciences, 2012
◎ アメリカ・ルイジアナ州
ミシシッピ川の土砂流入と沿岸開発が重なり、
**低酸素水塊(デッドゾーン)**が拡大。
牡蠣が広域で壊滅。
出典:
NOAA Hypoxia Watch Report, 2019
◎ 中国・福建省
港湾造成の濁度上昇でアコヤ貝が大量死し、裁判にも発展。
出典:
Journal of Marine Environmental Engineering, 2013
◎ 韓国・全羅南道
海岸埋め立てによる粘土流入でホタテ・カキが壊滅。
出典:
Korean Journal of Fisheries and Aquatic Sciences, 2015
★ 共通項
世界の研究者は一致してこう報告している:
1. 陸域開発の土砂流入は、海の微生物叢を大きく変える
2. 変性した微生物叢は、貝類に急性ストレスを与える
3. 高水温や塩分変動と重なると致死的になる
つまり、
「広島で同じことが起きた」と考えるのは科学的に自然である。
■ 広島湾は“影響されやすい海”である
広島湾は、
• 平均水深が浅い(約20m)
• 内湾で水の入れ替わりが遅い
• 富栄養化しやすい
• 養殖いかだが高密度で並ぶ
という特徴を持つ。
これは、物理学的に言えば「濁り・成分変化が滞留しやすい実験室のビーカー」 のような環境である。
そこに、
• 高水温
• 降雨減少による塩分上昇
• 土砂・山成分の流入(仮説)
• 微生物叢の変性
• 酸素低下
が重なれば、牡蠣大量死はむしろ「起こるべくして起こった」現象とすらいえる。
■ なぜ“公式には”造成工事の影響と言われないのか
科学的な話と、行政判断は一致しないことがある。
• 工事の責任が発生する
• 補償問題につながる
• 調査に大規模な予算が必要
• 「温暖化」が便利な説明になりやすい
そのため「温度要因のみ」が強調されやすい。
しかし、科学的見地からは、海水温だけを主因とする説明には限界がある。それは、海外の事例と照らせば明らかだ。
■ 牡蠣は「沈黙のセンサー」だった
カキは動けない。
しかし、環境の変化には敏感で、わずかな微生物叢の変動にも反応する。
広島湾で起きた現象は、単なる「不漁」ではなく、山と海、陸と水、開発と自然のバランスが崩れたサインかもしれない。
山を削れば、海が変わる。
海が変われば、カキが沈黙する。
これは感傷ではない。
世界中で確かめられてきた、科学的な事実である。
■ おわりに
今回の広島のカキ大量死の原因は、「海水温の上昇」「塩分変動」だけでは説明できない可能性が高い。
ここで私が指摘したように、
● 大規模造成工事
↓
● 山の成分や土砂の流入
↓
● 海の微生物叢の変性
↓
● 高水温と複合し致死的ストレスへ
という “複合災害モデル” が実際に起きていた可能性は十分にある。
そしてこれは“意見”ではなく、「グローバルな科学的知見と整合する仮説」である。
もしこれが「バクテリアを中心とした海洋微生物叢の変化」が主原因だった場合…考えたくないことだが、海はもう2度と元には戻らないかも知れない。
なぜならそれはリセットしてゼロベースから再生可能な「死んだ」状態ではなく、不可逆的に「変わった」別の海になってしまったからだ。
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