子猫ちゃんのスカッと
母の背に揺れる小さな命が、村を一つにした
2025年の夏、雨は終わりを忘れたみたいに降り続いた。
田畑も果樹園も道路も、見慣れた景色は一枚の水面に変わり、
家も家畜も、人も動物も、同じ不安の中にいた。
その朝、クララは小さな手漕ぎボートで支援物資を配っていた。
流れの癖には慣れていたけれど、果樹園の外れで彼女は息を呑む。
濁流を切って進むオレンジ色の母猫。
背中には三匹の子猫が必死にしがみついている。
耳を伏せ、目は恐れと決意でいっぱい。
母は泳ぐ、離さないために。
クララはオールを止め、波を見て、息を合わせる。
不用意な一撥ねで一家が流される。
「大丈夫、こっちへ」
彼女は声を抑え、船べりを低く保ち、そっと寄せた。
母は一瞬だけ立ち止まり、そして子を舟へ押しやる。
一匹、二匹、三匹。
最後に母自身がよろめきながらも飛び乗った。
水気を含んだ毛布、震えの抜ける肩。
あの瞬間、舟の上に希望が座った。
救助の知らせはすぐ村に広がる。
「誰かの家の裏を見に行こう」「納屋の隅も」
人は人を、動物は動物を、みんなで気にかける空気が生まれた。
大きな勇気だけが勇気じゃない。
静かで、小さくて、ものすごく強い勇気がある。
母猫はAmber(アンバー)と名づけられ、子猫たちと仮設シェルターへ。
ボランティアが体温を戻し、給水し、獣医で確認。
子どもたちはアンバーを見て「こわいけど、がんばれる」を覚え、
畑を失った農家は立て直す力を、もう一度胸に灯した。
やがて水は引き始める。けれど、残るのは教訓だ。
クララの一艇と、アンバーの離さない本能が示したのは、
「共感と行動は、圧倒的な自然の前でも通じる」という事実。
一家は回復し、クララの家の一角に居場所を得た。
窓辺で丸くなる子猫、見守るアンバー
この夏、村が忘れなかったのは被害の数ではない。
母の背にあった三つの小さな手、
舟を寄せた一つの静かな決断、
そして連鎖したたくさんの手だ。
勇気にはいろいろな形がある。
小さくても、遠くまで波紋を広げる勇気がある。
引用元FB:Light the Soul
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