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2023年05月18日05:26

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王道文化を目指せ

孫文は、41歳に達し、日本に亡命中、革命運動の同志を募りました。その数一万余人、追々勢いが盛大となってきたので、清廷も狼狽して、日本政府に対し、孫文の国外追放を要求しました。ところが、日本では、民間人、実業人、官場人、少しく対清問題に関心をよせていたものは、いずれも挙って孫文を支持したのです。

孫文は、明治40年、ついに帰国して、第一発の烽火をあげました。同志は失敗しました。彼は、黄興・胡漢民らをひきいて、鎮南関を襲い、三要塞をおとしいれ、三砲台をうばい、七昼夜のあいだ官兵と戦ったが、兵器の補給が続かなかった為、彼等もまた、旗をまいて退却しました。孫は、フランス政府に追われてシンガポールに赴いたのです。

黄興は、再び領廉を侵し、転戦数ヶ月、壮図一空に帰した。南部次郎は、毎日、新聞に眼をさらして、革命軍の形勢を気づかっていましたが、孫文らの退却を見て、「まだ機は熟しておらん」病床の中で、つぶやくように言った。だが、いつかは革命が、成就するものと信じていました。

南部次郎が、 明治七年このかた抱いていた思想は孫文によってうけつがれたので、大きな期待をかけていました。孫文は、シンガポールに赴き、そこからまた安南に行った。日本、香港どこでも、爆裂弾をいだいたこの危険人物を容れるところはなく、彼は、後のこと一切を黄興と胡漢民に託して、米国に去り、軍資金を調達することにしました。

孫文が、失敗した時、世間では、彼の唱える革命の中心思想、三民主義(民族・民権・民主)も、究極のところ、西洋思想の焼き直しだ、あの思想で、革命しようとしても、支那人は動かない、といった。だが、南部次郎は、石原莞爾に向って、「そんなことはない。三民主義の土台は、東方の道義である。外国思想の翻訳じゃない」世論の誤りをただしました。

いかにも、民族主義は、民族の平等を実現しつつ、独立を維持しようとし、民権主義は、専制政治劣悪政府を、政治革命によって一掃し尽そうとし、民主主義は、人道的立場において、将来における社会問題を解決しようとしたのであって、孫文は、この三者を一つにして、明治31年、三民主義を唱えたので、外国思想の影響は多分にあった。

大正13年11月28日、神戸において、孫文は大演説をこころみ、日本に対して、忠言をよせています。それによると、彼は、ここ数百年の文化の動きを直視するに、欧州の物質文化は、おどろくべき発達をとげたが、結局、武力をもって人を制圧する覇道にしかすぎない。東洋の精神文化は、何等進歩をしていないが、 徳をもって人を懐服させる王道だ。

覇道は、功利強権で行こうとするし、王道は仁義道徳でいこうとする。東西文化の相違点は、ここにある、と断じて、次のような含蓄ある言葉で、この演説をむすんでいる。まず、それをきかねばならない。

「被圧迫民族は、アジアにあるばかりでなく、欧州にもある。覇道を行う国は、ただに他州と外国の異民族を圧迫するのみならず、自州や自国内の民族をも同様に圧迫している。私の大アジア主義は王道を基礎としなければならないといったのは、これらの不平等を撤廃するためである。」

「米国の学者は民族解放に関する一切の運動をさして、文化に反逆するものだと説いている。従って吾々の主張する不平等排斥の文化は、覇道に背く文化であり、また民衆の平等と解放とを求むる文化であるということになる。 日本民族は、すでに一面、西方文化の覇道を取入れるとともに、他面アジアの王道文化の本質をももっている。」

「今後、日本が世界の文化に対して、覇道でゆくか、王道でゆくか、それは、日本国民みずから、慎重に考えねばならぬところである」孫は、日本の大陸政策に対して、円滑な調子で抗議しましたが、日本の当局者は、これに耳をかさなかったのです。

南部次郎が、口をすっぱくして、聖王の道による革命をといたのも、日本みずからが、中国と手を把って王道文化を実行しようとしたためでした。だが、残念ながら、彼は老いた。そこで、彼の意図と思想とを石原莞爾に伝えたのです。孫の思想をうけついだ蒋介石は、日本敗戦のとき、中国人民をいましめて、「暴に酬ゆるに暴を以てする勿れ」と布告した。

そして、武装解除に当っても、苛酷な敵対行為を示さなかった。孫は死んでも中国の王道は維持されていたのです。「ここだ。日本は中国に対し、戦争には勝ったが、道義には、完全に負けた」石原莞爾は、新聞を手にしながら、「日本の新聞は、この注目すべき事項を捉えながら、 なぜ、こんな小活字で取扱うのか」声をふるわして言ったのです。石原莞爾が年来唱導していた処は、図らずも、蒋介石の手で実行されたのです。(中華民国革命秘笈)

石原莞爾平和思想研究会 (ishiwara-kanji.com)

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