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2018年07月17日18:05

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ヒウラミナコ作 「処女をこじらせると癌になる。 ��」 校閲 鈴木清涜(犬神博士)



今日はマミちんと犬神図書館で映画「害虫」を観た。実を言うと二人並んで観るには――正視に耐えない内容だった。だって宮崎あおいがやってるのってうちらとおんなじ年齢なんだぜ?感情移入なんてもんじゃない。こいつはヤバイ。もうこいつはポテトチップスをジュースで流し込みながら観るようなもんじゃない。

それが分かっちまったから、一人で借りて夜中にこっそり観ることにした。順番をマミちんとジャンケンで決める。勝った。いいのか悪いのか。

宮崎あおい演じるサチ子の咆哮。

ギャーギャー叫んでいるわけじゃないけれど、そこにいるだけで全身咆哮。

これは一体何なの。ナンバーガールのI don't knowもシビレるほどかっこいい。おーい!あの娘の本当 オレは知らない あの娘のうそを オレは知らない I don't know・・・

マミちんも観た。

二人でしばらく押し黙って見つめ合った。それだけで映画の感想を言い合えた。

マミちんは言った。「犬神先生はあたしたちをどうしたいんだろうね?」

おんなじことをあたしは先生に直接聞いた。先生はミネラルウォーターのペットボトルをぐいっと飲んで、予想もしないことを口にした・・・「女の子同士でリリカルにブラトニック、かつエロティックでファナティック、残酷で透徹した、暗くて眩しい絶対的な少女世界を過ごしたいだけさ」
「女の子?女の子って?」とあたし。
「このおれも」と先生。
「気持ち悪っ」

帰り道。マミちんが絶対少女という概念について説明してくれた。先生が長年追い求め続けているという、絶対零度と同じ絶対的な領域、限りなく少女的な世界観のことだ。そこに到達すると、老若男女を問わず誰もが少女になれるらしい。

何のこっちゃ?

「それで?先生は女の子だと思う?」とあたし。
「まあ、少なくともあたしたちよりは女子力が高いのは確かよね・・・」とマミちん。
ごもっとも。お菓子作りとか、お裁縫とか、ぬいぐるみ集めとかとか。とにかく。先生は女の子であっても真っ白な紙状態(タブラ・ラーサというのだそうだ)のあたしたちに改めて女の子の何たるかを描こうとしているのだと認識。お人形にしようとしているわけじゃない。ジッサイ、あたしは自分の意志で動いているし、先生があたしに与えているのはごらんのとーり、コトバだけなのでございますよ。ナマのあたしが喋るのを聞いてごらん、ガックリ、ガッカリしちゃうこと間違いなしでございますよ。皆様方よ、そうなのでございますよ。

コトバは力(パワー)である。

元々は詩人マヤコフスキーが言ったらしい。誰だかわかんないけど、いいこと言うじゃん。とりあえず今のところはコトバがあたしのちんぽこ。オマエらのまんこにブチ込むあたしのカッタいちんぽこだ。食らえ、ズボズボ。キモチイイって泣いてみろ、グチュグチュ。イクって叫んでみろ、ズッポリ。アタマのなかにブチまれられる精液。

虚空のなかで中指をおったてる映画「害虫」の宮崎あおい。

クッソ、かっこよすぎる。あたしもああいう生き方をしたい。でもでもかっこつけようとイキがってもかっこよくなれるわきゃないじゃん。そんなのは現実的じゃない。だったらどうすれば?
おなにーするだけ?
またあの怠惰な日々を繰り返すの?
その瞬間あたしの脳裏にヴォネガットの「猫のゆりかご」。
ボコノン教の教祖が最期にやってみせるであろう、あれだ。
毒を口に含み、地面に横たわって冷たい彫像になりながら、天に向かって鼻先に親指から手のひらをくっつけて恐ろしい笑顔を向けるのだ――

つまり常にファッキュー。

泣きたくてたまらないけれど、中指をおったててファッキュー。それで幾分かラクになれる。宮崎あおいになりたくてたまらないけれど、心の隅っこで密かに想う。それで幾分かましになれる。なんて健全な青春。

犬神図書館の冷蔵庫の中身が梨だけしかなくなる頃、世のなかは学園祭の季節。今日は近所の高校の超常現象研究会とかいうあやしげな面々が来て、アレイスター・クロウリーについて先生と語り合っていた。部屋の隅っこで早速検索。

アレイスター・クロウリー

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%A6%E3%83%AA%E3%83%BC

犬神図書館にはギーガーのイラスト入りで著作が全部揃っている。あたしは読んでないけど、あの連中はみんな読んだらしい。でもハナシに耳を傾けていると、どうも様子がヘンだ。
研究会のアバズレどもはクロウリーがジッサイに魔術を行った前提で語るのに対して、先生はクロウリーを単なるジャンキーのダメ人間とやっつけながら繰り返し「意志」について語っている。

人間は既成宗教や思想の説くような神の従属物ではない。人間はそれ自体自立しうる神のような潜在能力を所有している。人間存在というもの自体が純粋なる歓喜なのであり、その存在の完全な発揮のために、人はおのれの欲することをなすべきである。意志せよ。あらゆるものは意志の上に築かれ、あらゆるものは意志を形成する。あらゆるものは意志のなかに息づいている。これこそが掟である。

何度も、何度も、先生のクチからこぼれる意志、WILL。アイ・ウィル・・・

先生は少年時代、自分の部屋にクロウリーの写真のコピーを貼っていたそうだ。そのスキンヘッドにはみんなが好むように悪魔の数字666ではなく、先生自らWILLとゴシック体でプリントしていたという。アイ・ウィル・・・

超常現象研究会のハナタレどもはワカッているのだろうか?黒魔術で悪魔を呼び出す?そんなことデキるわきゃないじゃん。ユメ見るのもいい加減にしろ。あたしのクロウリー。ミスター・クロウリー。ヤクでフヌケきった人間のゴミクズのクロウリー。どうかあいつらに天罰を。

あたしの意志、アイ・ウィル・・・

偉大なる厨二病もひとつだけいいことを言った。

ハンパな厨二病はそれらしくスク水でも着て輪になって踊ってろ。と思ってたらホントにマジック・ダンスと称して先生の指導で文化祭で披露したそうだ。もう3回目になるとのこと。マジか。
「先生も本気で魔術を信じてるの?」とあたし。
すると先生はこれ以上ないサイコーにニヤッと笑って、「そんなわけないだろ。単なる気休めだよ」と言った。

先生の信じているのはやっぱりコトバの力だけなのだ。

それがワカッて、あたしはとても幸せなキモチになった。コトバの力、即ち、ちんぽこ。先生はコトバだけでまんこがガバガバになるまで突きまくっている。あたしが目指すのはまさにそれだった。ああ、何て健全な青春。



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