mixiユーザー(id:4632969)

2018年01月04日00:20

213 view

「『イリアス』の各場面を『星矢』キャラで妄想してみた」��

「『イリアス』の各場面を『星矢』キャラで妄想してみた」��

(第11歌より苦戦するギリシア陣営の様子をうかがうパトロクロスを、パトロクロス=シュラ、アキレウス=アイオリア、ネストル=童虎、マカオン=アフロディーテで)

 両軍は燃える火のごとく戦っていた。廬山の駿馬は汗を垂らしつつ童虎を、また軍勢の牧者アフロディーテを運んでいたが、駿足の勇士アイオリアは、そのアフロディーテの姿を目にしてそれと気づいた。船腹広い船の艫に立って激しい苦闘と惨めな敗走を眺めていたのであるが、すぐさま僚友シュラに船の傍らから声を掛けた。シュラはその声を聞き、アレスにも見まごう姿を陣屋から現したが、これが彼の悲運の始まりであった。
 シュラが先に語りかけた。
「アイオリアよ、おれを呼んだのはどういうわけだ?何か用があるのか?」
 それに答えて駿足のアイオリアが言った。
「シュラよ、お前はおれには大切な友だ。今こそ聖域勢はおれの足元にひざまずいて懇願してくるに違いない。もはや奴らの手には負えぬ、重大な事態になっているかからな。シュラ、今は差し当たり一走り行って、童虎に尋ねて来てもらいたい。彼が戦場から運んでいる負傷した男は何者かと。後ろ姿を見た限りでは、魚座のアフロディーテにそっくりだった、顔は見ておらんのだ。何しろ馬が先を急いで、おれの前を矢のように駆けて行ったのでな」
 こう言うとシュラは親友の言葉に従い、陣屋と船の並ぶ道を走り去った。
 シュラが童虎の陣屋に着き、神にも見まごう姿を戸口に現すと、童虎は彼の姿を見て見事な椅子から立ち上がり、手を取って招じ入れて座を進めた。シュラはそれを辞退して言った。
「童虎よ、いくらお勧めされても座るわけにはいきません。なにしろ傷を負ってあなたに運ばれた人は何者か尋ねて来いと、おれを遣わしたのは気位高く癇癪の強い男なのです。ところでアフロディーテを目の当たりに見て、おれにも誰と分かった以上、アイオリアに報告のために引き返します。あいつがどんなに恐ろしいかは、童虎、あなたも良くご存じでしょう。罪のない者でもすぐに叱り付けるような男なので」
 すると廬山育ちの騎士童虎が答えて言った。
「アイオリアがなぜそれほどまでに、飛び道具を受けて傷ついただけの身を気遣っているのか、わしには分からん。彼は聖域軍全軍がどれほど悲痛な思いをしているのか、それについては何も知らんのか。今、船には名だたる勇士らが、あるいは矢に撃たれ、あるいは槍に刺されて臥せっている。ミロは矢に当たり、カノンとシオンも槍に刺された。アフロディーテも弦から放たれた矢に当たったのを、わしがたった今戦場から連れてきたところだ。それなのにアイオリアは、豪勇の士でありながら、聖域勢のことを気も掛けず憐れみもせん。彼は海辺の船団が、味方の奮闘も空しく、燃え盛る火に焼かれ、我ら自身も次々に討たれるまで、じっと動かずにいるつもりなのか。なにせ今のわしには、かつてしなやかな手足に宿っていた力がもはやない。ああ、あの時のような若さがあって、力も衰えずにいたらどんなに良かろう。その昔、牛盗みが原因で故郷と隣国で争いが起こったことがあった。わしは黒いつむじ風のごとく敵に襲いかかり、戦車五十を捕え、それぞれの車に乗る二人ずつがわしの槍に刺されて土を噛んだ。全軍こぞって、神々の中ではゼウスを、人間の中ではこの童虎の栄誉を讃えたものであった。
 わしも、昔は衆の中でこれほどの男であったのだ。しかるにアイオリアは、せっかくの武勇を自分のためだけに使うつもりでおる。必ずや彼は、自軍が壊滅した後で、大いに悔やみ嘆くことになるだろう。シュラよ、お前の父は、お前をシオンのために故郷から出陣させたその日に、次のようにお前に言いつけたものだ。その折はわしとカノンの二人がその場にいて、屋敷の中で彼がお前に言い聞かすのをことごとく聞いておった。我らが軍勢を集めながらアイオロスの住み心地よい屋敷に着いた時のことだが、そこにはお前の父とお前、そしてお前の側にアイオリアもいた。馬を駆るアイオロスは中庭にある囲いの中で、雷を楽しむゼウスに油の乗った牛の腿を焼いており、生贄を焼きつつ酒を注いでいるところであった。お前とアイオリアは牛の肉の処理にかかっていたところだったが、そこへ我ら二人が戸口に立ったのだ。アイオリアは驚いて立ち上がり、我らの手を取って座を勧めてくれ、客を迎えるしきたりの通り十分なもてなしをしてくれた。飲食を楽しんだあと、わしがまず用件を切り出し、おまえたちに我らと行を共にしてくれと頼んだ。お前たちは乗り気になり、父御らはお前らに心得るべき事々を申し付けた。アイオロスは弟アイオリアに、常に他の者に勝る手柄を立てよと言い、お前の父はお前にこう諭された。
『我が子よ、家柄ではアイオリアの方がお前より上だが、年齢ではお前が上だ。アイオリアは力ではお前をしのぐが、お前は彼に理に適った話を聞かせて忠告し、間違いのないように導いてやれ。彼がお前の忠告に従えば、当人のためにもなるのだからな』
 父御はこう諭されたのだった。お前はそれを忘れている。しかし今でも遅くはない、アイオリアにこのことを話してやれ。聞かぬでもなかろう。お前の忠告が神霊の加護によって彼の心を動かせるかどうか、それは誰にも分からぬが、友人の忠告というのは効き目のあるものなのだ。またもし彼が何か神のお告げを気にしてこれを避けようとし、高貴な母御がゼウスからの言伝を彼に告げたのであれば、せめてお前を遣わし、獅子宮の軍もそなたに従うことにすればよい。さすればお前は聖域勢にとって救いの光明となるかもしれぬ。また自分の見事な武具をお前に貸し、それをつけて戦場に立たせてやったらよい。冥府勢はお前をアイオリアと見誤って戦いをやめ、疲労困憊した聖域軍も一息つけるかもしれぬ。戦場での一息はわずかな間しかないが、戦いに疲れ切った敵を、疲れのないお前たちが、船と陣屋から町まで追い返すのに手間はかかるまい」
 童虎がこう言ってシュラの気持ちを動かすと、彼は船の並ぶ傍らを、アイオリアのもとへ走って行った。

次へhttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=1964526488&owner_id=4632969
前へhttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=1964493685&owner_id=4632969
目次http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1964469685&owner_id=4632969
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年01月>
日 月 火 水 木 金 土
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031