いつもの私の話とは別設定です。
ロスサガ前提ですがロスカノ、ラダカノ要素もあります。サガに対しては嫉妬深いくせに自分は遊び人のアイオロスが、サガと離れている間に彼をアケローオス河神に寝取られる話です。黒サガもちょっと出てきますが、神の考えは彼の思惑の斜め上をぶっ飛んで行きました、というオチです。サガの周りの事務官たちの胃袋をつかんで外堀を埋めたり、アイオロスに負けず劣らずアケローオス河神も計算高いです。
沙織さんとアケローオス河神がどうやって連絡を取ってるかというと、他分、相手の夢の中に現れるとか。
サガとカノンの両親の名前については、父親の名はギリシャ人男性に多い名前から、母親の名は神話の双子座の姉妹ヘレネから取りました。
その後の展開としては、ハッピーエンドルートで行くなら、アケローオス河神の仲介でアテナとハーデスの休戦が再締結されて、ラダとカノンもよりを戻して、サガが女体化してアイオロスと河神の子を産んで、黒サガは女体化のショックで引きこもり…でしょうか。お好きにご想像ください。
次はラダ誕かな…今年は何にしよう…。
『河神の誘惑』第1話
アテナとハーデスの聖戦が終わり、冥界が崩壊したことで世界のことわりが乱された。それを収拾するため、両界は互いの闘士たちを復活させ、女神と冥王の間には休戦協定が結ばれた。
しかしその二か月後、両者の休戦協定の更新交渉は失敗に終わり、聖域と冥界は再び緊張に包まれた。
これはそんな日に起きた、とある出来事である。
双子座のサガは現在、黄金聖闘士の称号をそのままに、聖衣は双子の弟カノンに譲り、アテネ市内にある聖域の事務局に局長として出向しており、市内の官舎で起居している。仕事としては、聖域が外界に持つ所有地や財産の管理、外交関係の処理、各地に散らばる聖闘士及び聖域関係者との連絡業務、情報収集など多岐に渡り、なかなかに多忙である。
聖域と冥界の間が再び緊張状態となり、いざ非常という時にサガとカノンのどちらが双子座の聖衣をまとって戦うのかが改めて問題となった。結果、カノンが双子座の聖衣を継承して双児宮の守護を任され、サガにはアテネ市での事務局長の地位が与えられた理由は二つ。海将軍筆頭・海龍としての運命もあわせ持ち、海皇の寵愛を受けるカノンを確実にアテナの黄金聖闘士として旗下に置いておくことの有利を聖域上層部が判断したこと。そして十三年の間、教皇として過ごした経験を持つサガは聖域内外の行政事務に精通しており、彼を事務局長として諸々の事案を事前に処理させることで、新教皇となった射手座のアイオロスの負担を軽減しようという理由であった。
そのサガは月に一度、聖域に定期報告を行うことになっているのだが、予定外のその日、彼は教皇の間にアテナ直々の命によって呼び出された。
「…アイトリア地方のアへロオス河に行けと?」
「そうです」
玉座に座ったアテナ沙織がサガにうなずいた。彼女の側には教皇と射手座を兼任しているアイオロスが控えていた。さらにサガだけではなく、通常は双子座として双児宮の守護に当たっているカノンもその場に呼び出されていた。サガの傍らに、聖衣姿のカノンがひざまずいている。
「双子座のサガとカノンをアへロオス河に派遣し、暴れている水魔を退治してほしい。それがアへロオス河の主たるアケローオス河神からの要請なのです」
「お言葉ですが、アテナ…」
カノンが面を上げて答える。
「それは黄金聖闘士を二人も派遣せねばならぬような手ごわい敵なのでしょうか。まして今のサガにはまとうべき聖衣がありません。水魔退治というなら、他の者を派遣したほうが…」
「確かに、不思議に思う点はあります。ですが、双子座のサガとカノンをそろって派遣してほしい、というのが、河神から念押しされた部分なのです」
「……」
「アケローオス河神は、世界の河川の父たるオケアノス神の長子、『河の王』として地上の河の神々を統括する方。私の母メーティスの長兄でもあります。よろしくお願いしますよ」
「…はっ」
こうして双子座の双子たちは、アテナから直々に任務を仰せつかったのであった。
「いったいどういうことだろう。我々二人を名指しで指名とは…」
教皇の間から出たサガが首を傾げる。
「水魔退治に黄金聖闘士を二人も呼ぶというのも気になる。それも、戦力にならない聖衣を持たぬお前をわざわざな」
カノンも今度の任務をいぶかしんでいた。
「…罠の可能性もあるか」
冥界との休戦協定の更新交渉が決裂した今、彼らがいつどんな形で敵対行動に出てくるか、気は抜けなかった。だがアテナの様子からすると、罠を疑っている風ではない。アケローオス河神のことは詳しくは知らないが、冥界と結託してアテナの敵に回るような神というわけでもなさそうだ。
「ともあれ、アテナの勅命を受けたのだ。行くしかあるまい」
「うむ」
「…心配するな。お前はおれが守ってやる」
カノンがまとうべき聖衣を持たぬ兄の胸を軽くたたいた。弟の気遣いに、サガは微かに笑みを見せた。
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