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2015年03月29日23:07

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ツヴァイクの見た夢、朔太郎の前掛け。

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25日付の読売新聞の編集手帳はかなり興味深かった。以下に一部引用しよう。

萩原朔太郎は不器用な人であったらしい。四十路を過ぎても飯粒をぽろぽろこぼすので、食事のときはいつも幼児のように母親から前掛けをさせられていた。萩原葉子の『父・萩原朔太郎』にある◆大詩人も形無しだが、欠点も弱点もさらけ出して暮らしているのが家族というものだろう。

この後、例の大塚家具のお家騒動を一刀両断しているのだが、全く興味がないので割愛した。

欠点も弱点もさらけ出して暮らしているのが家族というもの。

この一文には非常に感銘を覚える。私は家族に限らず、人付き合いの根本的なカタチだと思っている。紋切りコトバにこだわる私が何を言うのかとお思いになる方々もいらっしゃるだろうが、うわべだけのお付き合いに使うという意味の紋切りではなく、親しく付き合うための礼儀なのである。ある程度ルールはあるのであり、それなくしていきなりタメ口をきいたり、やたらにスキンシップをはかるなど言語道断だ。お互いさらけ出し合うにはそれなりの段取りを踏まなければならないのだ。

こうした人付き合いを国家、世界に拡大して考えていた作家は、シュテファン・ツヴァイクである。

上の画像がそれで、犬神図書館にはみすず書房のツヴァイク全集が揃っており、マリー・アントワネットは小学生の時にベルばらの資料として読破したものだ。

ツヴァイクの誰もが差別することなく、戦争を克服し、平和に暮らしていけるという思想は無残にも打ち砕かれ、その絶望を「昨日の世界」で著し、二年後に自殺してしまった。「昨日の世界」を初めて読んだのは中学生の時であったが、陰々鬱々とした自伝であるという印象しか持てなかったのだけれど、今の中学生が犬神図書館で読破して「確かに絶望的な内容ですけれど、その裏に希望への想いも感じました」と感想を述べたのに、私の読み方が間違っていたのではないかとショックを受けて、拾い読みながら読み返している。

ツヴァイクの本は読み返せば読み返すほど、朔太郎の前掛けに通じる、さらけ出し合いへの勇気を持とうというメッセージが読み取れる。

人付き合いがよかったことからも、彼はコミュニケーションの手練れであったことが分かる。

それが国家、世界には通用しなかった。その悲しみ。

そのあたりを映画にしたのがウェス・アンダーソン監督の「グランド・ブダペスト・ホテル」であった。クレジットにツヴァイクにインスパイアされたとあるように、レイフ・ファインズ演じる主人公グスタヴはツヴァイクその人である。

ツヴァイクの小難しい本を読むより、コッチを観た方が彼の思想に触れられるであろう。

私とお付き合いして下さっているマイミクさんたちはますますさらけ出し合う仲に、そしてこれから新たにお付き合いして下さる方々はさらけ出し合う前提でよろしくお願いいたします。

つまらないいがみ合いで貴重な交流の時間を停滞させないためにも。
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