世のなかにはイロイロな人がいるもので、私の知る老年の紳士は映画マニアを公言しながら、どの映画も本編はいっさい観たことがないという奇人である。
チラシと予告編のみ。
それだけで、どんな映画なのかを頭のなかで想像して満足するのだそうだ。
確かに、残念なことに予告編負けしてしまっている映画の何と多いことか!
先日観た「シャーク・ナイト」も予告編ではうおおやべえと興奮したのに、フタを開けてみればピラニアのパクリであった。
作り手たるもの、大衆の想像力を超越するためだけに、地獄の泥沼をのたうちまわっているわけだけれど、いっそのこと、予告編の構成に全力をつぎ込んで、本編をもんじゃを焼き広げるように調理してみせるのも手だと思う。
私が今書いている「デス・ダイブ」も予告編のようにザクザクしているのもそういう手法に基づいている。
ちなみに私が本編以上に面白いと思っている予告編は、スタンリー・キューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」だ。わずか1分6秒で本編を観終わった以上にカタルシスを感じる。
このへんはひとつ考え詰めてみるに値するのではないだろうか。
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