少女マンガにおいて、楳図作品をリアルタイムで読んでいた方々は口々に、怖くてどうしても読めなかったから、そのページだけ学校にあったでっかいホッチキスで強く閉じたと証言している。
しかし、怖いけれども、どうしても続きが気になってしょうがなかったと口を揃えたのが「洗礼」だ。
若さと美に執念を燃やす母親によって、脳を交換されてしまったさくら。
そのさくらが女の幸せを掴むために、好きな先生の奥さんを始末しようとする・・・
昼ドラの要素が強いサスペンスフルな展開に少女たちは虜になったようだが、楳図先生ならではの衝撃的な結末に、唖然というか呆然としてしまい、あらためて少女の魔力に恐れおののく結果になったそうである。
私は小学生の時に単行本で読んだ。
脳を交換する手術のシーンがトラウマもので、あんなシーンを女の子たちはどうやって読んでいたんだろうと感心するほどであった。
しかし、ほんとうにトラウマを感じるのは、さくらの心の奥に潜む“絶対少女”なのだ。元女優の母親が求めてやまなかった若さと美、そして女の幸せ以上のものを欲する存在・・・
それを子供のうちに読み解けるかどうかで、将来が決まるといっても過言ではない、名作である。
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