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2011年10月09日21:15

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NEW WILD SEVEN THE ANOTHER 壱 「七発の銃弾」 プロローグ

“When a man wants to murder a tiger, he calls it sport; when the tiger wants to murder him, he calls it ferocity. The distinction between crime and justice is no greater.”

George Bernard Shaw

“人が虎を殺そうとする場合には、人はそれをスポーツだといい、 虎が人を殺そうとする場合には、人はそれを獰猛だという。 罪悪と正義の区別も、まあそんなものだ”

ジョージ・バーナード・ショー

フォト


新聞の見出し。

「東京拘置所大虐殺」
「早朝の惨劇」
「死者100人以上か」
「ほとんどが警視庁、検察庁、法務省関係者」


新聞がバサッとデスクに置かれ、黒縁眼鏡をかけた眼光の鋭い初老の検事総長が口を開く。
「よくもまァ・・・ハデにやってくれたもんだ」
総長の眼前には、ふてぶてしい顔つきの中年男性が手錠どころか、首輪、腰縄、あげくの果ては足かせまで着けられて座っている。

「牧錠・・・マキ・ジョー・・・37歳。J大学法学部国際関係法学科卒業後、海外進出コンサルティングの会社を起業・・・結婚して娘を二人もうける・・・しかし、アフリカへ出張中、妻子をチンピラ二人組に惨殺され、会社を解体し、資金化し、拘置所にいた二人組を殺害するだけでなく、裁判にかかわった検察、弁護士、判事、そして警察までも殺害対象にした・・・こんなこと、単なる実業家に出来るわけがなかろう、本当は何者だね?」

「単なる一市民ですヨ・・・草波さん。妻子をなぶりものにされたにも関わらず、一人の刑期が短く済んだあげく、死刑が決まったもう一人は死刑反対派の法務大臣のせいで執行が延期・・・それで怒り狂った、ただの善良な一市民です、ハイ」

「ふざけるな、貴様ァ!!民間人の何の罪も無い裁判員たちも殺しおって!!」と、横から中年警視が口を挟む。
それを横目でせせら笑うように、「人を裁くにはそれなりの責任がつきものだ」と言ってのける。
興奮して手を出そうとする警視を手で制し、草波検事総長は、「確かにな」と同意を示す。

「あの連中は、被告たちの幼少期の悲惨な生い立ちだの、精神病院に通院していた時期があるだのと、弁護士に畳みかけられて、ああいう結果を出したわけだ。シロオトに断罪なんか無理なんだ」
「総長・・・!!」と警視。
「私が今興味があるのは、目の前に転がっている疑問・・・君が本当は何者か、ということだけだ。拘置所の地下まで川から穴を掘って秘密の通路を作ったり、携帯に遠隔操作の高性能爆弾を仕掛けて裁判員たちの頭を吹っ飛ばしたり、おまけにロケット弾で法務大臣が乗ってるリムジンまで吹っ飛ばしたり・・・それでもただの一市民と言い張るつもりかね?」
「あんたのことだ、ご存知なんでしょう?本当はあんたも標的に入っていた・・・だが、秘密警察を指揮下に置いているあんたは全然スキがなかった・・・せっかく爆弾を仕掛けてもすぐ解体されちまっていた」
「どうやらお互い知ってるようだな、牧君。アメリカの国家安全保障局(NSA)の秘密通信技術主任なんだってな」
「正体が何であれ、俺は父親だ。妻子をあんな目にあわせた連中は絶対許さない。今はドジってあんたに捕まっちまったが、この場で俺を殺さないと、あんたを必ず殺すぜ。あんたが最後の標的なんだ」
「よかろう。いつでも殺すがいい。君は釈放だ」
これにはさすがに、牧も、警視、その場にいたスタッフたちも驚愕した。
「総長・・・!!何をおっしゃいます!!」
「チ・・・草波さん・・・あんた、釈放の条件に俺にきたねえ仕事をやらせるつもりだナ?」
「ほう、さすが・・・さよう、君の大胆不敵な戦略と行動力は私の秘密警察向きだと考えた次第だ。私はもう老いた。私の代わりに指揮をとれ。承知するか?」
「名前は確か・・・」
「ワイルド7!!」

ワイルド7・・・飛葉、へボピー、オヤブン、両国、八百、世界、ユキ・・・といった歴代メンバーの資料を見ながら、牧は考えていた。
飛葉以外は全員死亡。
現在、飛葉は特殊任務を帯びて新メンバーとともに東欧に潜伏中・・・か・・・
「あんたが新しいボス?」と、バーのボックス席、牧の向かい側に角刈りの中年がドカッと座って、テーブルにぎこちなく両脚を乗せる。
「おまえは水戸、だったナ・・・俺は牧だ。ところで、草波に恨みはあるか?」
「そりゃあ、腐るほど!!足はごらんの通りでも身障年金すらも出ねえわ、嫁は失うわ、踏んだり蹴ったりだぜ」
「なるほど」
「それで、残りのメンバーは把握してる?」
「紅(くれない)と勝吉(かつよし)、神林(かんばやし)はさっき本人たちを偵察してきた・・・この慧嶽(えいがく)姉弟ってのは資料だけだが?」
「二人とも年少と刑務所に入ってる・・・親を殺したヤクザ一家と中国マフィアを皆殺しにしてな。それもボウガンと素手でだぜ。古流武術の道場の後継ぎなんだってよ」
「ふむ・・・いつ出る?」
「明日さ」

和歌山刑務所。
私服に着替えた慧嶽麟子(えいがくりんこ)が私物を受け取り、通路を歩いている。
未成年だけでなく、年配の女性受刑者まで直立不動になり、深々と頭を下げ、「お疲れ様でしたァ!!」と挨拶する。
刑務官たちのささやき声。

あれが慧嶽の長女か・・・
おとなしくしてりゃアかわいいんだがよ、入ったばかりの頃、警棒でこづいた矯正担当がいてな、その場で警棒をノドの奥まで突っ込まれて病院送りよ・・・
ヤクザたちに母親を殺された時、飲まず食わずで親の死体と一緒にコンテナに閉じ込められてたってナ・・・それでなんで生きてたと思う?
母親の死体を弟と一緒に食って、てめえのションベンを飲んでたんだ・・・
そればかりか、母親の髪の毛と骨で手製の弓矢を作って、コンテナを開けたヤクザたちを殺したってハナシだからな・・・
おっかねえ・・・そんなのが何で出られるんだ?
さあな・・・

門前。背後で扉が閉まるのを聞きながら、麟子は目の前に停まったタクシーを見た。
タクシーからは弟の和馬が降りてきた。
「姉さん」
「和馬。ちょっと育ったわね?」
「うん」
その瞬間。
タクシーが爆発し、和馬が麟子をかばうようにして倒れ込む。

離れたところで状況を見ていた水戸が驚きの表情を見せる。
「オイ、タクシーにゃ何の罪もないだろうが!!」
「心配するな、ちゃんと死んでいいのを選んだ。白タクのヤクザもんでな、過去に女性を殺害してる。その罪は20年の刑期で償ったようだが、時間なんぞ関係ねえんだ」と牧。
タクシーの爆発に驚いたのは、慧嶽姉弟だけではない。
角で待ち構えていた黒ベンツの連中も驚いて、必死に姉弟に向かっていき、メチャクチャに銃を撃ってくる。
「ハデな展開になったぜ!!あんなんで大丈夫かよ!!」
「大丈夫、周囲にはシー・シェパードとの戦闘訓練と言いくるめてるさ」
ニヤリと笑う牧、迫撃砲をセットして、姉弟に照準を合わせて、榴弾を発射する。

「なんなんだ、イキナリ!!」と続けざまに起きる爆発にうろたえる襲撃者たちのリーダー。
「くそっ、親分のカタキを逃がすな!!」
と、そのリーダー、煙のなかから現れた麟子に手首の逆を取られ、握っていたS&W M629リボルバー拳銃を奪われ、骨折の激痛に叫び声を上げたその口のなかへ勢いよく突っ込まれた。8⅜インチモデルなので、その長さは気道、食道を破壊し、窒息のダメージを与えた。
次々と撃ち込まれる榴弾の着弾のなか、和馬も銃弾を上手く避け、短い突き、蹴りで襲撃者たちの急所を破壊していた。

「よし、こんなもんか。47秒。計29名の襲撃者を制圧。大したもんだ」と牧。
「しかもあんたのサディスティックな横やり付きでな」と水戸。
「ふむ。ワイルドの一員としてはまずまずだな。二人ともバイクは?」
「港でヤクザの親分を殺した時のバイクの曲芸を見せたかったぜ・・・問題ねえよ」
「全員集めろ、制服と武器を新しく支給して、手始めに草波を殺る・・・」
「・・・!!」

プロローグ終。

�,紡海�。






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