ヤングチャンピオン烈にて連載中の「Trash」。
本作品について語る前に。
原作の山本賢治先生はワニマガジンの頃から追いかけていた。
「正拳シンデレラ」(ワニマガジン)の頃から、いわゆるヤマケン的とされる、血みどろ美少女の描写が確立されて、作品を追うごとに脳みそや臓物が飛び散るグロ表現はエスカレートしていった。
このへんの美少女×グロの図式は、初期のみやすのんき先生(「エニワンズ・ドーター」は初期の最高傑作!!クローネンバーグの影響が濃い!!)からの流れで、山本賢治先生もこれに属していたのだが、作家として自ら火のなかに飛び込んで新しく生まれ変わろうとした、後先を省みない挑戦が流れから脱却することに成功している。
手塚治虫の名作「ブラックジャック」のリメイクがそれで、たった三巻で終わったくらい、さんざんな不評を買った。
この不評は、山本先生描くブラックジャックが軽い悪人ヅラにしか見えない、ピノコがけしからんくらいに(今風にという意味で)かわいいの二拍子が主だったようだが、私はオリジナルではそんなに気にならなかったグロ表現がリメイク版では生々しく、生臭く感じられたのが最大の要因だったと思っている。
ブラックジャックを自分色に染め上げることで、山本賢治先生はひとつ先へ飛び抜けていったのだ。
現在は漫画家ではなく、原作者としての活動がメインになっている模様だが、これもまた先へと進化していくための変容だと思う。
作画を担当しているD.P先生は、ズバリ、成人向け漫画でお目にかかった作家で、ジミメガネのチビっ娘が実はパツキンのグラマー美少女であるというありえなさすぎる超展開がやけに印象的だったことを覚えている。
ちっちゃい男の子をけしからんくらいにショタ好みに描くことも得意で、山本賢治先生にとっては、自らの美少女路線を任せるには最適な描き手であることは十分に納得出来る実力派だ。
ただ、どちらかというとほんわかスタイルのD.P先生にとっては、血みどろバイオレンスのヤマケンスタイルは初体験のようで、これまた新路線を開拓するためのチャレンジであろう。
さて、「Trash」。
とにかく、殺し屋の女子高生二人(バレット&フランチェスカ)がバンバンヤクザを殺しまくる。
バレットと呼ばれるるしあは、炸裂弾を撃てるように改造したベレッタを愛用し、フランチェスカと呼ばれるマインは二本の戦斧を使用し、両手(多分両脚も)の骨は炭素鋼、歯は窒化ホウ素(ダイヤの次に硬い)で出来ているというキャラクターだ。
ここまではありがちのキャラ立てなのだが、山本賢治先生の“らしさ”が炸裂しているのが、女子高生ヤクザの美能子。
バレット&フランチェスカと同じ女子高生でありながら、ヤクザの組長。フツーならありえない、おふざけ設定だが、金庫番のおばちゃんの目に隠しカメラを仕掛けたり、クラスメイトとドナー契約を結んだり(自分の身に何かあった時のための血液、臓器提供者)、邪魔者はバレット&フランチェスカに始末させるとなかなかのやり手で、しかもケジメは自らのミスもきっちりつける(小指を詰める)骨のズイからの極道者というのは、小池一夫先生もビックリのキャラ立てだ。
るしあとマインの過去(マインはほんのちょっとだが、人体改造を受けたシーンが出てきた)も気になるが、先代の跡目を若くして継いだ美能子の過去も大いに気になるところで、今は先代の組から破門されたロリコンヤクザとキ印殺し屋(カネの代わりにロリコンヤクザの使い古しの美少女をもらいうけて、一週間かけて嬲り殺す)を相手に凄惨な死闘が始まろうとしている展開に固唾を飲んで見守っているところである。
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