多くの僧侶は読経の前に、精神統一をはかるためにピシッと正座して経本を手に心を清らかにするのだが、私は全く逆である。
畳の上に大の字になったり、屁をこいたり、エロ本を読んだり、時間があればソープに行ったり、一品料理を作ったり、洗濯したり、“伏魔殿”と呼ぶ納戸の整理をしたりしている。
あえて混沌のなかに身をおくことで、読経にふさわしい精神状態・・・砂嵐がおさまった後の砂漠の幻想的な清らかさを目指しているのだ。
その方が、正座して煩悩を膨らませて読経にのぞむよりも、はるかに煩悩の出現率が低い。
というわけで。今日は納戸を整理していたら、昔使っていたワープロのフロッピーの山が出てきて、業者に頼まなければ中身が出ないほどの古さに苦笑いしつつ、書かれたタイトルに記憶の引き出しがガーッと開けられた。
以下、中学時代に書いたオリジナル小説のタイトルとあらすじである。
「降魔成道(ごうまじょうどう)」
1970年のよど号ハイジャック事件を機に、超宗派仏教徒による日本赤軍追跡班、暗殺班が極秘に結成され、ヨーロッパ、アラブと重信房子、奥平純三をつけ狙いながら遂に目的を果たせなかった男たちの生死を描く。
※日蓮宗の僧侶による血盟団事件を元ネタに、日本人とは何か、何であるべきかを一気呵成に書き上げたもの。ちなみに当時読んだ家庭教師の感想は、右翼系の僧侶が英語などの外国語をマスターするためにオープンリールのテープレコーダーを何度も再生して、寝言まで英語であるシーンに連続強姦事件の大久保清を参考にしたんでしょ、であった。
「豆腐屋忠兵衛伝」
元禄に生きた浅草の豆腐屋主人、島田忠兵衛。人間でありながら狐狸、幽霊、妖怪を友とし、神仏と兄弟付き合いをする超人。それでいてお上からとがめられず、また民からも白眼視されず、淡々と豆腐屋を営む彼の不思議な魅力とは?
※実在した人をモデルにしているが、ほとんど私の創作。ほらふき男爵ときっちょむを掛け合わせ、人間は想像力といたずら心さえあれば、世を楽しく生きられるということを書いたけれども、文章力が未熟ゆえに、忠兵衛がほんとうに神通力を有していると思われてしまった。
「姉の力(ロングバージョン)」
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=273603546&owner_id=1640816
過去日記に掲載した「姉の力」は思いっきり縮めたショートバージョンで、最初に書かれたのは日記形式の、原稿用紙八百枚を超える長編であった。大叔母の幽霊が出た際、従姉がボンナイフで大叔母のおでこを切り裂いた、死体ごっこをしようと、お互いの頭をすりこぎで血が出るほど殴り合ったというエピソードなどが満載で、個人的にここまで書くのはどうかと思ってカットしたのである。
※ちなみに従姉本人はロングバージョンの方を懐かしがっていて、たいへん気に入っている。
他にもいくつかあったのだが、タイトルで覚えているのはこれだけだ。このうち、「降魔成道」は日本版「ミュンヘン」としてもっと広げて書けそうだし、「豆腐屋忠兵衛伝」は老後のお供としてほくそ笑みながら書けそうなので、少年時代の私自身にはほんとうに感謝したい。
いい感じに清浄なる砂漠に降り立った気分になれたので、これから檀家のところへ出向。
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