http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=10781
ルイス・ブニュエルを初めて観たのは、多くの人がそうであるように、「アンダルシアの犬」だった。
小学生の頃、家庭教師をしていた女子大生が母校の早稲田大学の学園祭にて、前衛映画上映会なる出し物で紹介してくれたのである。
それ以来、ブニュエルの“何か”に取り憑かれて、次に再会したのがこの「昇天峠」である。
ぴあで上映する映画館を調べて、やけに生温かい空気が流れる夕闇に観に行って、帰りはものすごい雷雨だったことを覚えている。
隣で観ていた中年のカップルがしきりに「これはオデュッセイアだよ、うん、まぎれもなくオデュッセイアだ」と言うのがうるさかったせいで、あの映画のどこがオデュッセイアなんだろうと電車のなかで考えていて、色々なシーンを反芻してみて、はっと思い当たるものを感じてニヤッとしてしまったこともよく覚えている。
神々の御世から人は相変わらず滑稽で哀しい・・・
それで、私の心に憑依していたブニュエルの亡霊は離れ、代わりにひとつの拈華微笑のかたちを与えてくれた。
今でも。
私は夢のなかである目的地へ急ごうとするのだが、そこへ着いたためしが一度もない。
それなのに、気持ちよく目覚められるのだ。
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