2004年09月09日(木)
恐怖の館のこと。
恐ろしい夢を見た。
巨大な西洋館の中でゲームをしている。
ゲームというのは、単純も単純、女主人(パトロンヌ)に捕まらずに、生きて館を脱出出来るか、出来ないかというものだ。
もし捕まれば・・・想像を絶する恐怖に彩られた死が待っている。
館には大勢の美しい女性が住んでいたが、どれが女主人(パトロンヌ)なのかは分からない。
そこで、私は最上階の窓から、こっそり外側の壁に張り付き、壁伝いに各部屋を覗いて回った。
それぞれの部屋では、一人ずつ、美しい女性たちが化粧台の前に無表情で腰掛けていた。
その様ときたら、まるで、ポール・デルヴォーの絵画のようだった。
そのうち、ある部屋をカーテン越しに覗くと、私と同じくゲームに参加している、向こう見ずな若い青年が、女性をベッドに押し倒しているのが見えた。
その瞬間、どこかから、雷鳴が聞こえてきた。
私はどんよりとした灰色の曇り空を見上げ、それから視線を部屋の中に戻した。
すると・・・部屋の中は・・・恐怖に支配されていた。
最初は、女性がその気になって、裸になった青年の上にまたがっているのかと思った。
違った。
口を真っ赤に染めて、青年の胸を噛み裂いて、心臓をえぐり出していたのだ。
その顔は全く無表情だった。
私は、やつが女主人(パトロンヌ)かと思い、顔と服装をしっかり記憶すると、けもののように素早く壁際を移動して、窓のない壁側から、慎重に、ゆっくり下へ降りていった。
地面の上に降り立つと、そこは館の構造からして、中庭のようだった。
私は舌打ちすると、園芸道具の物置目掛けて飛び込み、目当ての斧を手に取ると、出口の正門を目指してまっすぐ駆け出した。
一階の大ホールの中に入ると、内階段をちょうど女主人(パトロンヌ)が降りてくるところだった。
口を真っ赤に染めて、無表情のまま、両手を突き出してきたので、私はこれでも食らえと斧を彼女の脳天目掛けて打ち下ろした。
紙くずのように、床に叩きつけられた女主人(パトロンヌ)の頭部にねらいを定めて、ヒステリックに斧を何度も叩きつけた。
気がつくと、周囲に大勢の女性たちが集まって、遠巻きにして無表情で眺めていた。
他の男たちは?
無言そのものが答えだった。
私はニヤリと笑った。
だが、俺は勝った。この通り、誰が女主人(パトロンヌ)かを見抜いて、しとめてやった。
俺は勝ったぞ。
私は勝利に酔いしれて、斧を投げ出し、正門へ向かって歩き出した。
そこで、女性たちの中に、現実に可愛がっている女の子の顔を見つけて、私は思わず足を止めた。
女の子の名前を呼んで、なんでこんなところにいるんだ、さあ帰るぞと、女の子の手を引っ張って、抱き寄せた。
そこで、周囲の女性たちの表情が変わった。
何ともいえない笑み・・・
私は足の力が抜けていくのを感じた。
「おまえが?」
そこで目が覚めた。
一緒に寝ていたはとこの話だと、私は一晩中、寝言をつぶやき続け、汗びっしょりでうなされ続けていたそうである。
こうした悪夢は獏に食わせるといいと言うが、私はあえて、恐怖そのものを呑み込んでおきたい。
夢の中の恐怖は、ほんとうに、気持ちいいくらい美しかったからだ。
これから先、反芻するように思い出すことで、私は生きることを愉しむだろう。
今日はここまで。
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