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ジャンピエールテンシンの庭コミュの秋のファイルの保存箱

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秋刀魚(samma)
(The Memory of Japan - The Tenshin Garden フランス語版 より抜粋・和訳)

僕が最初に日本で秋刀魚を食べたのは、東京の下町である。
日本には、シシリンという名前のポータブルのグリル装置があり、
その中に炭を入れ、まず、木くずや新聞紙をいれて火をつける。
木くずを入れ足しているうちに、炭に火がうつり、
火勢が強くなってそれが少し落ち着いたころに、網をのせる。
僕が竹かごに入れてあった秋刀魚というソードのように
長い魚を網にのせようとすると、
「マッタ」がかかった。

日本にまだ慣れないとき、僕の行動にはしばしば、
まるで卵に塩をかけるように「マッタ」がかけられた。
そのときはまず、秋刀魚に塩をかけるよう、マダムは教えてくれた。
秋刀魚に塩をかけたので、さて、網にのせようとするとまた、
「マッタ」がかかった。まだ早いという。
網が充分熱くなってから、のせなくてはならないようだ。
熱いかどうか確かめようとしたら、
こんどは、自動的に「マッタ」が掛かった。
素手で触ってはいけない。

熱いかどうか確かめるにはどうしたらよいかと問うと、
秋刀魚をのせてみるとよいという。
網が熱くなっていると秋刀魚の皮がくっつかないという。
僕はマダムの話に「マッタ」をかけようとしたが、
秋刀魚から大量の煙が出て来たので、そっちに気を取られて
「マッタ」のことは忘れてしまった。
しかも、マダムはケムイケムイと家に入ってしまった。

煙と格闘しながら、僕はなんとか秋刀魚を焼き上げ、
オレンジが入っていたという箱を椅子の代わりにして
マダムの住む家の小さな中庭のような場所で
秋刀魚とごはんで食事をした。
マダムにお礼を言って帰ろうとすると、ここでまた
「マッタ」が掛かった。
「マッタケ」ごはんを作ったから少し持っていきなさいという。
「マッタケ」はふしぎな香りのするキノコで、
とてもいいものなのだそうである。
「マッタケ」ごはんはとてもおいしかった。

それとき以来、僕は「マッタ」をかけられると、
「マッタケ」ごはんの香りを思い出す。
こんな香りをずいぶんたくさん僕に振りかけてくれた
マダムにもとても感謝している。

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