ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

日本デジタルゲーム学会コミュのゲーム研究の教科書: 動向紹介

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
       ☆    〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < 会員用サイトまだ〜?
            \_/⊂ ⊂_ )   \_____________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
       |  愛媛みかん |/


...と,待つだけでは研究が蓄積されないので,自習も兼ねてゲーム研究の教科書についてまとめてみました.

 実践的なゲーム開発の本,あるいは体系的なゲーム研究をまとめた本はこれまでにも出版されていました.しかし,ゲーム研究の進め方について案内したり,大学の授業で使えるような分量のゲーム研究の「教科書」が出版されるようになったのは最近のことです.その流れをまとめてみました。
 今後,「教科書」が整備されるにつれて,ゲーム研究者は,どれだけゲームをプレイしたかという経験やどんなゲーム開発の現場を見たかという経験だけではなく,どんな教科書で学んだか,どんな研究に影響を受けたかという経験も大きく影響してくるでしょう.

1) 教科書ができるまで : 2004年以前

 ゲーム研究の教科書がまとまる以前の時代は,既存の各分野の研究でゲームを取り上げたものを横断しながらゲームについての考え方を訓練していました.たとえば国際学会DiGRAの文献リストが日本語訳されています.
- 「コンピュータゲーム研究の出発点: コンピュータゲーム研究に着手しようとする学生の間に広がる誤解」(DiGRA, 2004), 星野訳(IGDA日本)
http://www.igda.jp/modules/xfsection/article.php?articleid=45

 また,各分野の文献を照会するだけでなく一冊の本にまとめて再出版する「Reader」(読本)も出版されました.
- The Game Design Reader: A Rules of Play Anthology (MIT Press, 2005)
http://mitpress.mit.edu/catalog/item/default.asp?ttype=2&tid=10659&mode=toc
- The New Media Reader (MIT Press, 2003)
http://mitpress.mit.edu/catalog/item/default.asp?ttype=2&tid=9604&mode=toc

2) 用語集,ハンドブック,そして教科書の成立 : 2005年以降
 ゲームについて論じた従来の文献を読むだけでは,まだゲーム研究とは言えません.まず,用語や方法論がそれぞればらばらなので,それらを整理した用語集や道具箱をつくる必要があります.オンラインで読める用語集としては,以下のものがあります.
- Dictionary of Video Game Theory (Jesper Juul)
http://www.half-real.net/dictionary/
- ゲーム批評用語小辞典 (井上明人)
http://www.critiqueofgames.net/data/term.html
こうした用語集は作成者の個人的な関心が色濃く出たものですが,それをより総合的網羅的にしたものがハンドブックや辞典です.この段階になると一人ではカバーできず,グループによる作業になってきます.
- Handbook of Computer Game Studies (MIT Press, 2005)
http://mitpress.mit.edu/catalog/item/default.asp?ttype=2&tid=10331&mode=toc
この「コンピュータゲーム研究ハンドブック」は DiGRA JAPANの学会誌の書評でもとりあげられています(書評: 増田「研究の潮流を創りゆく学生へのガイドとして」, 『デジタルゲーム学研究』創刊号 所収).オンラインでもサンプルが読めますが,こうしたハンドブックや辞典は,最初から読み進めるのではなく,調べたい言葉を明確にしてから「引く」ものです.何かを調べようとして,ハンドブックのIndex(索引)を引き,その道の専門家が書いた解説を読み,さらに詳しく調べるための参考文献リストをつくる,ということができます.
 ハンドブックや辞典とちがって,学生が一定期間で最初から最後まで読み通せるような教育的配慮をもって書かれているのが教科書です.たとえばDiGRA初代会長のFrans Mayraの教科書は,教室で使う(自習に使う)スライドまでオンラインで配布しています.
- Frans Mayra, An Introduction to Game Studies (SAGE Pub., 2008)
http://gamestudiesbook.net/
こうした教科書が整備されたことで、これからのゲーム研究者には,他の分野と同じように,定番の教科書を組み合わせ,どの科目を履修にしてどれを選択にするか,いつ実習を行うか,といったカリキュラムの組み立てが重要になってくるでしょう.
- 例: ドナウ大学(オーストリア)大学院通信課程でのゲーム研究の科目紹介.
http://www.donau-uni.ac.at/en/studium/computergamestudies/index.php
以上,ゲーム研究の文献リストから教科書,そしてカリキュラムの例を駆け足で紹介しました.教育の後の研究についてはまた今度.

コメント(4)

一応いいわけ、
欧米圏で、ゲームデザインについての研究書籍として鍵となった存在の「Rules of Play」ですが、翻訳は今年前半に一度断念しました。諸々ありまして、ある方が分訳体制で引き受けてくださったものを、難航していたものを私が引き継いだのですが、それ以前の体制で訳されていたものをつなぎ合わせる作業が絶望的に難しく、全日本語のチェックが必要になり、誤訳が大量に含まれていることがわかってきたため、ほとんど訳し直しに近い状態に突入し、こりゃ私のスキルを越えていると、さじを投げざる得なくなりました。

しかも、粗訳(とまで言えない厳しい状態)のものは、半分しか訳されておらず、下巻に当たる部分は未着手の状態。これは、このままの体制では永遠にできあがらないと、一度やめて、ゼロから別の方に訳して頂いた方が速いという結論にいたり、あきらめました。

で、新たにソフトバンクさんの方で、専業の翻訳者の方を見つけて頂きまして、現在翻訳作業があらためてスタートしています。この本は、歴史的な名著であるという認識は、ソフトバンクさんも翻訳者の方も持って頂いており、何とか訳書を出そうという意志は現在でも変わっていません。

この本の訳書が出ていないのは日本の産業にとっても大きな損失であるという認識を私自身も持っております。よく、日本でも出てくるゲームデザイン論の大半が、すでにこの本で検討が終了しており、すでに欧米の世界は、それを前提としたゲームデザイン論の時代に入っていることがGDCに行くとよくわかるからです。

ソフトバンクさんは、何とか来年中には出したいという意向を持たれていますが、まあ、まだわかりません。ただ、訳書を何とかだそうと、作業は進んでいることだけはご報告させて頂きます。
これが世に出る事がまず第一歩ですね。

とはいえ、やはり原書や原文で文献やサイト情報を読める開発者がもっとたくさん出てこないと難しいと思います。
開発者のスキルに英語力は必須と認識している企業も多いですが、実際にはそんな人材がなかなかいないか、いてもゲーム業界にはなかなか来てくれないので、まずはコーディングやデザインのスキルにプライオリティを置いているのが実情ではないでしょうか?

いっそ、コーダーやレベルデザイナーをイギリスやアメリカから直接雇い入れて、社内公用語を英語にしてしまった方が早いかもしれません。
円高だと、人も集めやすいでしょうし。
あ、学会設立以前にやっていた、ゲームデザインの教科書を紹介していたお話ですね。
http://www.igda.jp/modules/news/article.php?storyid=613

Rule of Play は学生向けの教科書というには重厚すぎるので、翻訳も大変だと推察いたします。
 あの本を書くために著者たちはこれまでのゲーム論・ゲーム開発論を調べて、それを一冊の論集として再録したのが、上記記事で照会した
The Game Design Reader: A Rules of Play Anthology (MIT Press, 2005)
ですね。ちなみに私は Rules of Play よりも Reader の方がいろいろな発見があり面白く読めました。論集なので一つ一つが短いし(^^)。

> 日本でも出てくるゲームデザイン論の大半が、すでにこの本で検討が終了しており、
> すでに欧米の世界は、それを前提としたゲームデザイン論の時代に入っている

 海外がすでに通過した話をやってる国内の新刊についてはノーコメント(^^)。
特にゲームデザインに関しては、使いやすい/教えやすい英語教科書・読本がいくつもでてきましたね。私がいまゲーム研究を教えるとしたら、上記の記事のように Rules of Play はファーストチョイスの教科書ではないです。しかし、過去のゲーム論を調べ、自分のコンセプトを立てて、きっちりと書くという点で Rules of Play は研究者にとって教育的な本だと思います。できれば日本語訳はシビアな学術出版の編集経験のある人に監修していただきたい。
IGDA日本さんがアカデミック・ブログを開始されたので、本記事の私の書いた部分はそちらに移します。
http://igdajac.blogspot.com/
私が書いた他の記事も順次そちらに移していく予定です。こちらのコミュニティでのソーシャルネットワーキングは引き続きよろしくお願い致します。


ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

日本デジタルゲーム学会 更新情報

日本デジタルゲーム学会のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。