一応いいわけ、
欧米圏で、ゲームデザインについての研究書籍として鍵となった存在の「Rules of Play」ですが、翻訳は今年前半に一度断念しました。諸々ありまして、ある方が分訳体制で引き受けてくださったものを、難航していたものを私が引き継いだのですが、それ以前の体制で訳されていたものをつなぎ合わせる作業が絶望的に難しく、全日本語のチェックが必要になり、誤訳が大量に含まれていることがわかってきたため、ほとんど訳し直しに近い状態に突入し、こりゃ私のスキルを越えていると、さじを投げざる得なくなりました。
Rule of Play は学生向けの教科書というには重厚すぎるので、翻訳も大変だと推察いたします。
あの本を書くために著者たちはこれまでのゲーム論・ゲーム開発論を調べて、それを一冊の論集として再録したのが、上記記事で照会した
The Game Design Reader: A Rules of Play Anthology (MIT Press, 2005)
ですね。ちなみに私は Rules of Play よりも Reader の方がいろいろな発見があり面白く読めました。論集なので一つ一つが短いし(^^)。
海外がすでに通過した話をやってる国内の新刊についてはノーコメント(^^)。
特にゲームデザインに関しては、使いやすい/教えやすい英語教科書・読本がいくつもでてきましたね。私がいまゲーム研究を教えるとしたら、上記の記事のように Rules of Play はファーストチョイスの教科書ではないです。しかし、過去のゲーム論を調べ、自分のコンセプトを立てて、きっちりと書くという点で Rules of Play は研究者にとって教育的な本だと思います。できれば日本語訳はシビアな学術出版の編集経験のある人に監修していただきたい。