(1)もとよりアメリカには独自の文学が生まれていたとはいえ、アフリカ系アメリカ人作家の登場は、ボールドウィン(1924-1987)からであり、それは1953年のことである。イギリス領西インド諸島出身のインド人、ナイポール(1932-)のデビューは1957年の『神秘な指圧師』であり、その後"In a Free State"でブッカー賞を受賞するのが1971年である。(アメリカではすでにアフリカ系アメリカ人の公民権運動が勝利している。)その後のブッカー賞から、この話題に関連する作家を見てゆくならば、インドのボンベイ(ムンバイ)出身の元イスラム教徒のラシュディ(1947−)の『真夜中の子供たち』が 1981年。南アフリカ出身の白人クッツェー(1940−)の『マイケル・K』が1983年。長崎生まれで五歳でイギリスにわたったカズオ・イシグロ(1954年)の『日の名残』が1989年。ナイジェリア生まれのアフリカ人ベン・オクリ(1959年)の『満たされぬ道』が1991年。スリランカ生まれで十一歳で母親とイギリスに移住し、その後カナダに渡ったマイケル・オンダーチェ(1943年ー)の『イギリス人の患者』が1992年。インド生まれでインド在住のアルンダティ・ロイ(1961−)の『小さきものたちの神』が1997年。インドのデリー生まれで、インド、イギリス、アメリカで教育を受け、現在アメリカ在住のキラン・デサイ(1971年)の『喪失の響き』が2006年である。またブッカー賞こそ受賞していないが、インド、カルカッタ生まれでオックスフォードで社会人類学を学んだアミタヴ・ゴーシュ(1956年ー)の活躍もめざましい。
■エイモス・チュツオーラ Amos Tutuola 1929−1997
1929年、ナイジェリア西部、ラゴスから64マイルの年アベオクタで生まれる。 1952年、『やし酒飲み』が、ロンドンのフェイヴェー&フェイヴァー社から刊行される。三十二歳。 1954年、『ブッシュ・オヴ・ゴースト』 1955年、"Simbi and the Satyr of the Dark Jungle" 1958年、『アフリカの勇敢な女狩人』