おれね、"A Concise Chinese-English Dictionary for Lovers"っていうペーパーバックを書店で見つけてね、なんの気なしに手に取ったんだ。『恋人たちのための中国語ー英語小辞典』、小説かい? 著者は? Xiaolu Guo? 中国人? 聞いたことないや。ちょっとめくってみようか、おや、手書きで、「sorry for my english」。え、sorry for my english? あらら、ほんとだ、超ブロークン・イングリッシュ、動詞が落ちてたり、時制が狂ってたり、スペルが間違ってたり、破れかぶれでまぬけでおたんちんであんぽんたんな文章。凄いね、ここまでやるかってくらい。ギャグ? 文学的趣向? 主題にふさわしい記述? 母語から切り離されたヒロインが異国をさまよう物語? どんなふうに展開するんだろう? どんな結末をつけるんだろう? 読んでみよっか、この、辞書形式で書かれた恋人たちのための物語を。
わたし、テキストブックを取り出す、”How are you?”"I am very well, How are you?""I am very well." 質問と答えが一緒じゃん。中国のことわざにあるよ、「鳥には鳥の言語あり、獣には獣の会話あり」。なーんてこと考えてるうちに入国審査も無事通過、そしてわたしはコミュニズムの国からやって来た合法的旅行者になったってわけ。それからというもの、わたしはどこへ行くにも 紅い A Concise Chinese-English Dictionary と一緒なの、そ、毛沢東語録のように紅い小辞典と。コンサイズって、たんじゅんでクリーンって意味。