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半蔵門かきもの倶楽部コミュの第九十一回 文芸部A 王都作「【パイロット版】プリテンダーズ・ロックンロール(上)」(テーマ選択「ココナッツ」「ロングコート」)

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2022/8、奴がやらかしたこと
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あらすじ
〈主役はウォルター兄妹〉
2014年1月のある日、ここはハワイのホノルル。ココナッツ香るなか、避寒と本格的なスペイン料理の肉三昧目当てでアメリカ本土から来た旅行客一行。彼らはシェパード一家+ウォルター兄妹。内訳はルイス・シェパード夫妻に甥のジェイムズ(奴)、ジェイムズの血の繋がらない妹で姪のフリーダ含め計4人。重い話のはずが、いつの間にか流れが奇妙な方へ行ってしまう。奴、どんな思考回路してんだか。

登場人物
●ジェイムズ(当時23)
奴(前作の愚か者)。フリーダの継兄。人としてバカ

●フリーダ(当時16)
ジェイムズの継妹。勘は悪くなく、今回の食事の席で兄の奇妙な言動に疑問を持った。低音の声色がローリン・ヒルのそれと似ている

○ルイス・アーク・シェパード(当時44)
ジェイムズとフリーダ母方の叔父・継叔父。とにかく身辺謎まみれ。人当たりは良い。後年甥が引き起こした女優一家殺害事件で重刑が課された際、減刑嘆願をする。この件が契機となって離婚した

○ローラ・マリー・シェパード(当時44)
ルイスの妻で兄妹の叔母・継叔母。見た目は地味、筋の通った女性。旧姓、マッカートニー。ビートルズのポールとは無関係。生家から莫大な遺産と負債を相続する。


≪本文≫
〈兄視点〉
2014年1月某日ハワイ時間12時、カリフォルニア発のとある旅客機の中
角が丸まった窓から澄みきった青い海に囲まれたオアフ島が見える
俺はジェイムズ・ウォルター、コーカサス(白人種)でフリーの電子系・化学系とそれらの応用美容系エディター。仕事はほどほどにあるから、冬の休暇を利用して、母方の伯父夫妻よりかねてから要望の有った何度も行って飽和してるホノルルへ向かうことに
今回の旅は久しぶりに会ったルイス伯父と彼のワイフのローラ、堅く言うなら義理の伯母さん、それに、ついて来なくていいのに――亡き父が養女にしたヒスパニック(主にスペイン系)の――妹、フリーダが同行している

伯父は昔の映画に出てるようなポマード固めのショートカットスタイルに黒いサングラス(笑)、ノーブランドでもパリッとしたカーキ色のトップス、インナーは麻のタンクトップ、下はLevi'sの黒いハーフパンツにDOLCE&GABBANAのカジュアルシューズ。手堅くまとめたな
義伯母はブロンドのウェーブにサーモンピンクのルージュ、ANNA SUIの藤色グラデーションワンピースの上にシースルーカーディガン、JILLSTUARTのリゾートバッグとVALENTINOのミュールの似合う人。こういうのを美魔女、って言う国があるらしい。確かジャパン…
妹は…全く個性が無く、どこにでも売ってそうなファッション誌から抜け出た褐色のコートホルダーw
だけどなぁ…この義叔母と妹が春夏トレンドの同形でサイズ違いのスプリングロングコートをかさ張るIKEAのバッグに入れてるという。不思議だ

昼のうちに空港に着いて機内の階段降りて外気に当たると、ココナッツの匂いが出迎えた。同行者たちは大はしゃぎしていたが、俺は何回来てもこの感触に慣れない。そこに機内食が胃にもたれ、昼食どころじゃない…
伯父「爽快だなぁ〜この風♪まさにハワイアン・トロピカルトロピカルドリンク
義伯母「いつ来ても素敵ねぴかぴか(新しい)
俺「どうにも暇すぎてしゃあない。飽きてるからなんか目先変えようぜ」
妹「よっしゃ」
アラモアナセンターに着く頃までには、来たとき強く感じた蒸せ返るほどのフルーティーな匂いは気にならなくなり、代わりに周りの平坦な通りを走る乗用車やスポーツカー、他の観光客たちの明るく、ときに突き抜けてワガママな感じの声が俺と妹をかなりイラつかせた

昼下がり、道中ふらっと入った中華料理店。見た当初近くの韓国料理店に入ろうと思ったが、東洋人の観光客が大声で下品に喋っていたのでやめた。何だアイツらむかっ(怒り)
時間が早かったのか他に客は無く貸切状態。ラッキー?
4人用のボックス席に着くとテーブル上に置かれている店員を呼ぶ目的のベルを鳴らし、手早くオーダー
料理は小さな満漢全席風のコース、俺と妹の選んだドリンクはそれぞれホットプアール、アイスジャスミンティーを飲んだ。夫妻はポットに入ったホットウーロン茶を
一通り食べ終わって、俺とフリーダは懲りもせずマックスコーヒーを追加注文、かなりの甘党なんで
マックスコーヒー飲み終えて
伯父からすぐ
「忌憚無く話してくれ。その方がありがたい」
伯母からも
「主に誓って私たちの中で留めるから、私が保証する」
この話は・・・「あの」惨劇の前後話と解った俺は、隣に座る妹に目配せした。彼女は重くゆっくり頷き、すぐに目線を戻した

「あれは13年前の4月、ヴィクトル…わりと好かれていた牧師の亡き父は教会に奉仕していた。彼の講話や讃美歌の指揮は評価されていた覚えがある。俺もクラスメートの女子から「あなたのパパのリード最高!このことパパに伝えて!」と言われたこともあった。俺は少しだけ父に誇らしさを感じた
その陽気で思わずノリたくなるリズミカルさを甚だ不快に思った"アノ"紳士が教区に告げ口。後日統括の人間が父を訓戒するまでの日数は3日だった」
ここで叔母が目を丸くしながら
「3日!?たったの3日で!」
俺と妹は重くゆっくり一回頷く。ここで妹から
「あれは……私が4歳の頃パパからそのことを言われてすぐ家の中に竜巻が吹き荒れたの。とてもとても恐ろしくて…」
彼女の両目に涙がうっすら浮かび始めていた
俺は再び話し始め
「同じ月の下旬に、統括のオッサン数人と父の話し合いが決裂して父はいともあっさりと教会を追い出された。当時の俺は「もし神が居るなら"お仕着せ"の試練か?」とくどくどと思った。そして父の新たな就職はことごとく阻まれ、家族の暮らしは瞬く間に荒れた。見かねたエレノア、俺たちの母が夜からスーパーマーケットのパートへ出ようとするたび喧嘩が絶えなくなる。これまでホコリの溜まる暇無く綺麗に片付いてたダイニングや床に割れた食器が山盛り…それでも両親が、俺とフリーダを粗末に扱うことは「ただの一度も」無かった。」
黙って頷く妹、皆真剣に聞いている
見た目若そうなウェイターが目を向け観察。ヤバい
それでも勢いが止まらず
「さらに運命は俺たち家族に強烈な鞭を浴びせた!
父を憎んだ"糞(destroyer)"紳士=エドワード・ハンプトンが暇だったギャングの集団に父を襲わせ、命を奪った。後日近所にあった雑貨屋の話によれば、白昼の路上に飛び散った血痕を俺は睨み付けていたという
そうまでして父をさんざん痛め付けた理由、それが、母と年の離れた姉メリッサ、女優に例えるとジュリー・ガーランド似な彼女にプロポーズして振られた恨み…何てことだ畜生!」
伯父は目を丸くして呆れ、義伯母と妹はかぶりつくように俺を見る
「母から俺たちに「ヴィクトルはもう戻らない。私たちはなるべく一緒にいましょう」と告げ、二人の頭を抱き寄せ黙った
そのときは何を言われてるのか分からなかったけど、妹のことを考えられなくなるくらいの不安が襲った。やがて母は典型的な姉御肌が災いしたのか、夫亡き後勤めたバーの営業中に喧嘩の仲裁で死んでしまった。どうしようもなく彼女らしい逝き方でも残された俺たちは・・・」
ここまでで、気力が尽きた。俺はふいに
「解散でも蒸発でも好きにすれば?母さん。飛んじゃえば楽だぜ!」
言葉の威勢と裏腹に、俺は肩を落とし落涙していた
すでに理性と動態がバラバラ
そんな俺を見た妹の目が冷ややかに。さすがに鈍感な人間にも分かる
それでも俺は話の筋だけは何としてでも伝えておくつもりで、淡々と続け、15分ほど休んだ



ジャスト15分経った頃から再開
「ここから後は駆け足にしますが、質問など受け付けます。何なりとどうぞ」
伯父から早速
「君たち兄妹は公的に援助などは受けたの?無ければ僕の伝手でヘルプ可能だから言って」
俺は
「貴兄の温情に感謝はしますが、多大な負担を強いたくないので、妹の諸費用は彼女が大学を卒業するまで今後も俺が払います」
伯父、納得して安心出来たようだった
振り返ると妙なことだったが、伯父はこの後TPOから外れる方へ話し始めた
「これから僕は君に変なことを尋ねるかもしれないが聞いてほしい。君は君の親族…とくに母であるエレノアに欲情したことはあるかな?」
さすがに俺でなくとも、、、、困った末
「その点は定かではありません。実は夢で母と似た少女を抱いていて、快感と極楽にでも居るような感じを覚えた経験は有ります。しかしながら、」思わず、ここで口ごもった
伯父は言葉尻をリピートし、尋ねるように
「しかしながら?」
「フィニッシュには至らず、未遂に終わって目が覚めました。少女が突然男の悪魔に変わって、腰が砕けてしまったから・・・」
伯父はことのほか大笑い!
俺は身の置き場が失くなったたらーっ(汗)
何だこの展開……どうしてこうなった
「どうしてこうなった」
皆が俺に注視する、一瞬パニックしたが状況が解り
「ああ俺か。(深呼吸して)すいません」
目配せを終え、再開
「あの憎悪の時期を乗り越えた俺は、ハンプトン本人だけ消そうと考え、大学は法学部へ進んで、法曹界に役立ちそうな仲間を作りました。今は記事書きの裏取りに重宝しています(笑)」
今度は伯母が目を輝かせ
「あらぴかぴか(新しい)それは気になるわスマイル良いほうで💕貴方が良ければお薦めしたいお嬢さんたちがいるの。こちらへ連絡して」
と、伯母のスマートフォンのQRコード画像を俺に向けた
"待ってくれ、"たち"って何だ?その女どもは名誉と金にタカるのか???それならNO THANKS!"
もちろん全くその気はないので「いいえ、俺には深い深い仲の人間が居るので、お構い無く」と文言はキッパリと話し方は丁重に断った、やれやれあせあせ(飛び散る汗)


(下)に続きます

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