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半蔵門かきもの倶楽部コミュの第95回 文芸部A 王都作「ケトル」(テーマ選択「柏餅」)

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初出:2023年05月15日 20:33

スーパーとかで買う「柏餅」は、むやみに甘く、食したあとにお茶で流し込む。
私はついついドリンクとかは勢いよく飲み干したがるタイプなので、やせたくても体がなかなか言うことを聞いてくれない。よって、ゴムのズボンやスカートとはお友達。

四半世紀ほどを共にしている友人とダイエットについて話し合うこともままあって、彼女の口から出た“ローカロリー”や“和三盆”など、耳よりなワードをさっそくググる。そしたら大体、時短メニューやカロリーオフのレシピに会える。よし、これ使おう。

よく使う食材はいつもキープしているので、カロリーオフシュガーと和三盆をアマゾンでポチッ。数日したら手元に。となりの家の猫が心地よく鳴いていた。

すべての食材が揃ったところで、件の友人がこっちへ遊びに来たいとの申し出が。もちろんOKして、彼女は数十分後私の宅に着く。2人でまったり話しながら作業して、柏餅は完成。
彼女に訊かれる「なんで一から作ろうって考えた?」
それに対し私「甘すぎるの=水分とりすぎて太っちゃう。それに血糖値のこともあるけど、それよりもっと……この時期に亡くなってしばらく経つおじいちゃんが私たち家族によく柏餅を作ってくれて、その甘さとやわらかさ。冷やしても感じるんだよ。またそれが食べたくて……」
聞き終えた彼女は軽くため息をついて、私をじっと見つめ
「ノスタルジーと現実。どっちも叶えててステキ。ありがと」さらに続ける。
「アタシなんてさ……(涙ぐみながら)、親からスナック菓子とカップ麺を与えてもらったことしかなくて…(グスン)、それで体が悪くなっても無視されて、なんなんだろ?この違い……。アンタがうらやましくて妬けるわ。帰る」
私、突然のことに混乱しつつ
「ちょ!ちょっと待ってそんなつもりじゃ……」

ピー!!!

ケトルの音。そか、私、ドリンク作ろうとしてたっけ。
「とにかく何か飲も」

――――

キッチンの引き出しの中に入れてるはずだったドリンクの粉末を探しても見つからず、静かに焦る私。
最近まで食事すると必ず飲んでた粉茶が切れてて。
懸賞で当たって少しずつ飲んでる辻利の抹茶をホットで。これなら彼女も落ち着けるかなぁ……
ケトルに入ってるお湯が少し冷めて、お茶に合う温度に近くなった。
それを急須に移し例の抹茶をひと匙、お茶碗に注いで彼女に出してみたけど・・・


(*´∀`)湯のみぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)

効果 テ キ メ ン 表情(嬉しい)オメデトウ

しかも、彼女はいつもチロルチョコの抹茶味を、職場の鍵つきロッカーか夏場は同じく共用の冷蔵庫の隅っこで保管してるという。筋金入り。

しばらくお互いにスマホとにらめっこしてたら、あちらから。
「ねぇ」
私。
「?」
ここからしばらく彼女。さっきはしゃいだテンションとうって代わって一気に堕ちていた。
「アタシたち末端ていうか隅っこのほうで身を粉にして働いてても、報われなさそうだよね……そう思ったら何かメチャクチャ(鼻をすする)、目の前真っ暗く感じちゃって(泣き始め)、おまけにイベントシーズンのとき必ず独りで……どこ行ってもこんなのばっかりだったら……それでも寂れて何も残ってないふるさとには帰れない、、、どうしよう?!」

私は一言だけ、
「今日泊まりなよ」
彼女、
「え?……いいの!?」
私、何も話さず首を大きく縦に振る。


その晩から翌朝にかけて私は、眠れずしかたなくハトムギ茶とサラダせんべいを片手に、長い間更新していなかったブログとデジカメの中に眠っていた余分なデータたちをたくさん整理。案外これで、気が紛れた。
彼女は私の作業してた隣で、静かに寝息を立てている。
あっちが目覚めたら今度はこっちが寝始めて…お互い、追い立て合いながらこの家を後にしそうだな。なんて。


―― Materials ――
食べ物に関する情報
女同士の打ち明け話をヒントに

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