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架空図書室 それいゆ文庫コミュの第42回 課題本は野坂昭如の「火垂るの墓」でした。

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猛暑の夜、夏の忘年会を兼ねて西荻窪のもう一つの名店「のらぼう」にて、女性4名、男性2名で
熱くゆる〜く語りました。


                           *


・ジブリのアニメの印象が強い。原作に忠実だが、死後の主人公が振り返って語る形式だった。映像美が見事で、おかっぱの節子が可愛いく、衰弱する様子がとても可哀想だった。

・テレビ実写版では松島菜々子が小母さん役。原作とは異なる小母さん側の事情が描かれていた。当時の庶民と軍人の価値感の違いも表現していた。

・原作は野坂氏の実体験。贖罪の気持ちで書かれた壮絶な内容だが、どこか明るさを感じる。野坂氏の性格からくるものか、子供の純粋な無邪気さがあるためか、関西弁のもつ軽妙なリズムのためか。

・文体は句読点をわざとぬかしたり、くせがあり読みづらいが、兄妹の思いやりや蛍の情景が美しい。

・昔読んだときは号泣した。大人になって読むと、追い出したおばさんの気持ちもわかる。当時は食糧が貴重で、他人の子供の面倒まではみれなくて普通。

・清太のプライドの高さが気になる。頭をさげて、居候をさせてもらえば栄養失調にはならなかったかもしれない。自分ならそうしたように思う。

・日本が勝利して、父親が迎えに来てくれると思っていた清太。敗北と父の死を知った絶望感は計りしれない。節子の死も追い打ちをかけて、清太が死に向かうしかなかった心情が悲しい。

・兄妹は恵まれた生活をしてたため、苦しい食生活に適応しづらかった。贅沢を自然に受け入れていて、食糧の確保が難しいという事実がよくわからなかった。こういうことは現代でもある。

・当時は、隣組や地域や家族という集団システムから離れて生きてはいけなかった。そこから離れたかった清太。自殺行為だが、本当に嫌だったのだろう。

・食糧を得ることよりも大切な何かとは、軍人の息子としての誇りや妹との親密な暮しか。

・この作品を書いたことで、野坂氏はもっと苦しみを深くしたそうだ。書いて癒されることはないが、書かないではいられない苦しさを野坂氏は生涯味わっていた。



                              *


戦後71年。日本の夏は、戦争体験と切り離すことはできません。

文学でも様々な角度から、戦争は描かれています。

子供の味わった困難や悲劇は、いっそう胸に迫ります。


どうしてこんなことが・・・・? この悲劇が繰り返されないためには何ができるのか・・・?

答えは簡単にはでませんが、問いかけることを忘れずに、残酷な事実に向かいあわなくては

いけません。すべて人間の間に起きた出来事であり、今もどこかで起きている現実なのです。



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